焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「・・・!?閣下を・・・処刑だと!?何の権限があってそのような事を!」
「権限?それはヴァン謡将がこちらにいるキムラスカの兵士を手にかけようとしていたからです。そうですね?」
「はっ!ルーク様に助けていただかねば我らは謡将に一人残らず殺されていました!」
ルークの質問にハッキリ声を出し、質問に代表者は肯定する。その答えを聞いた瞬間、リグレットは愕然と目を見開く。
「さあ、これでお分かりでしょう?過失ならまだしも、ヴァン謡将は私の目の前でキムラスカに敵対の意志を見せた・・・いや、預言通りにアクゼリュスを落とさせる為に何も知らぬ兵士達を殺そうとした」
預言通りにという所から表情を怒りに変え、同時に預言を知っているというアピールを込めた言葉を話す。リグレットは驚きに声も出せず、ゴクリと喉をならす。
「ヴァン謡将が行動を起こした事で私の心も決まりました。そこで私は戦の気運を上げる為、敵将の首をあげようとヴァン謡将の処刑を決めたのです・・・それではお聞きします。あなたはヴァン謡将を助ける為にここに来たのですか?」



老け髭の生命をかけたルークの質問に、リグレットは危機を感じてそれと同時に掛値なしに一瞬で理解をした。‘こいつは全てを知っている、自らの望む答えを出さなければその一秒後には死体と化した閣下が自らの目の前に転がる’と。もしそうでないと言ったとしたら確実にそうなるだろうと。
全てを理解し、尚リグレットが取った行動は・・・


意を決して銃に無言で手をかける。予想通りの行動にルークはその手を銃を持つ前に一瞬で自らの手で押さえる。
「・・・協力者で間違いないようですね」
演技を続けるルークにチッ、とリグレットは舌打ちをする。その音が響いた瞬間、リグレットの体はルークに全てを委ねるように胸の中へ崩れ落ちていった。
「・・・捕縛しろ、ナルト」
「リョーカイ」
崩れ落ちていったリグレットの背後には手刀の形に手を変えていたナルト。回りの兵士はその瞬間は見えなかったがその手でナルトがリグレットを気絶させたのだと思いながらも、リグレットを拘束していくナルトの強さを改めて認識する。
そしてリグレットを拘束し終えると、ルークは回りの兵士に目を向ける。
「皆さん、この通り六神将のリグレットはヴァン謡将を助けようと行動を起こしました。すなわちあの中にいる神託の盾も紛れも無くヴァン謡将の手先と思われます。故にこれから我々はタルタロスの中にいる兵士達の捕縛に参ります。貴方方にはヴァン謡将とリグレットの監視をお願いします」
「「「「はっ!」」」」
ルークの命に、兵士一同敬礼をする。完璧に心酔した様子の兵士に満足しながらルークはナルトを向いて軽く笑む。
「じゃあ行くかナルト」
「わかってるってばよ」
返事をナルトが返す。それを機に二人は見えるようにすさまじい早さで走りだす。そしてタルタロスの設置部分より大分遠い所からタルタロスに飛び入り、二手に別れる形で内部へ消え去っていった。





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