焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「・・・あぁ、来ましたね」
タルタロスを目視したことでルークは傍らにいる老け髭を横目でみやり、その隣にいる影分身兵士に視線を向ける。
「タルタロスの中にいるナルトの元へ行け。ブリッジのナルトから指揮をお前が受け取って余計な行動を取らないように見張れ」
「はっ!」
自作自演の自分の影分身へのキリッとした顔の指示に、皆がホゥッ・・・と聴き入る。だが、兵士がまたもや一瞬で姿を消すと皆がまた驚きの表情に変わる。



そして数分もすると、ナルトはリグレットの体をお姫様抱っこをしてこちらにやって来た。だがお姫様抱っこという微妙な連行の仕方に、リグレットはやたら抵抗したようでぐったりしている。
だが、ナルトがルークの目の前に来て地面に下ろされるとリグレットは老け髭を見て目を見開きながら立ちつくす。
「さあ、あなたがここに連れて来られた理由、お分かりですか?」
だがルークはフリーズしているリグレットに構わず、笑顔で話しかける。
「・・・貴様、どういうつもりだ・・・?」
「私はあなたの疑問に答えるつもりはない・・・今すぐヴァン謡将の首をはねられたくないというなら私の質問にだけ答えてください」
「・・・っ!」
自分の目に映るのは閣下を敬愛しているはずの愚者、リグレットは気絶している老け髭と隣で平然とたたずむルークを見比べこのような目に合わせたのはルークだと理解し、眉間を寄せて威嚇の殺気を放つ。だがルークはリグレットの問いに、向けられた殺気以上の殺気を向ける。更にリグレットの背後からも、殺気が質量を持っているかのように突き刺さってくる。ふっと後ろを恐る恐る振り向くリグレット、そこにはクナイを手にポンポンと遊ばせて不敵な笑みをリグレットに向けているナルト。






二つの殺気に板挟みになったリグレットは言葉をとめる。
(なんだこいつらは・・・!?)
ナルトの力は先程も見たが、傀儡となって暮らしているルークまでもが自らを震撼させる実力の一端を見せている。ただ理解を出来ずにいたリグレットも、二人からこれだけは感じ取っていた。
(私が余計な事を一言でも言えば閣下の命まで危うい・・・!)
向けられた殺気には偽りなんか一つもない、それだけは確実。
「・・・わかった」
リグレットは命を繋ぐべく何故という思考を放棄し、ルークの声に額に汗を垂らしながら集中する。



だがリグレットの思考はすでにルーク達に一方向に行くよう、操られ始めていた・・・






「さて、改めて質問をさせていただきます。あなたはどのような理由でここに連れて来られたか、わかりますか?」
「・・・いや」
「そうですか。ではその理由をお答えしましょう。あなたが、いやヴァン謡将率いる神託の盾がアクゼリュスを滅ぼし戦争へ誘おうとしていると聞いたからです」
「な、なんだと・・・!?でたらめを・・・!」
「でたらめ?そうですか、ではヴァン謡将とあなたはなんの関係もないのですね?」
「それは・・・」
揺さぶりにかけるルークに、リグレットは押されに押されながらも場を切り抜けようとその場しのぎに言葉を繋ぐ。だが老け髭を引き合いに出されると、リグレットは言葉を濁す。
「関係があるのか、ないのかどっちなんです?」
「・・・」
下手な事は言えないと口をつぐみ、下を向くリグレットを見てルークはいたって歪んだ笑みを浮かべる。
「答えられない・・・というよりも答えにくいといった所のようですね・・・ふぅ、答えていただかなくては困るんですけど」



「答え次第ではこの場でヴァン謡将の処刑を見届けていただかなくてはいけないんですよ?あなたに」







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