焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「「「「えっ・・・!?」」」」
さっきまでの真面目な表情が嘘のようにルークはにこやかな声と顔でナルトに朝学校に行く息子を送り出すようにしている。
「行ってきますってばよ~」
そのナルトもその子供かのようににこやかに手を振る。これは一体なんの冗談なのかと兵士達がア然としながらほうけていると、ルークに手を振っていたナルトは瞬き以下の瞬間でその場から姿を消した。
「「「「なっ!?」」」」
「・・・さぁ、後は私達は住民の皆さんとともにナルトが戻ってくるのを待ちましょう」
ナルトを見送ったルークはその笑顔のまま兵士に向き直り、驚きしか表せていない兵士に手を広げながら雄大に促す。
「・・・ル、ルーク様・・・い、一体あの少年はなんなのですか・・・?」
するとようやくナルトの動きからの動揺に立ち直った兵士の一人がルークに怖ず怖ずしながら問う。
「ナルトは私の師です」
「・・・えっ!?」
だがルークの返答にまた兵士は信じられないという声を出す。
「驚いてしまうのも無理はありません。ですがこれは事実です。そして・・・これだけは確かに保証させていただきます」



「彼が動く=失敗などありえない、という事を」














・・・ほんの少しだけ時が進み、場所は変わってここはタルタロス内部、リグレットはブリッジの中に来ていた。



「後どれくらいだ?」
「はっ、後数時間もすればアクゼリュスに到着いたします」
ブリッジに入室するやいなや、リグレットはタルタロスを動かしている兵士に声をかける。
「そうか」
「は『ブリッジ!聞こえるか!応答してくれ!』」
兵士が納得したリグレットに声をかけようとした瞬間、唐突に別の場所の警備を担当している者から必死な声がかかってきた。それを聞いたリグレットは兵士より先に受話器を取る。
「どうした!?何があった!?」
『左舷に敵襲!このままでは我らは・・・!』
「・・・どうした!?おい!」
必死な声が途中で途切れる、それはすなわち兵士が襲われたという事。リグレットはそう理解しながらも兵士に返答を呼びかける。
‘ドサッ’
すると、リグレットの耳に届いたのはさほど遠くない位置で何か重い物が落ちる音。なんだとリグレットが眉を寄せると受話器の奥から聞き慣れない声が響いてきた。
『あ~、マイクテス、マイクテス。聞こえますか?どうぞ?』
聞こえたのは子供の声、そのことにリグレットは驚きではなく激昂する。
「なんだ貴様は!」
『何って・・・侵入者だってばよ?』
だが受話器の奥の声は激昂しているリグレットの声に一切怯える事なく、自らを侵入者だとなんでもないように告げる。
「貴様・・・貴様のような子供が侵入者だと!?愚弄しているのか!?我々を!」
『愚弄?そんなつもりで言ってないってばよ。ハンデあげるからブリッジ守れって意味でこうやって通信してるってば』
「ハンデだと?」
『そ。今から10分程時間くれてやるからブリッジ固めろってば。せめて全力で戦わせてから諦めさせてやるから』
子供の声にリグレットは尚の事怒りを覚える。なにせ自分達を見下しきった発言しかしないのだから。
「ふざけるな!何人で来ているのかは知らんが、タルタロスの中の兵士全部を相手に貴様は勝てると思うのか!?」
『ま、そういうのは予想出来たってば。愚弄されたって思うなら今からリグレットの所に行くから・・・あ、ちなみに俺一人だから。侵入者は』
「何!?貴様何を・・・!」
リグレットが再度声に問いかけようとすると、ガチャンという音が聞こえた。通信が切られた事でリグレットは若干乱暴に受話器を戻す。
「いかがなさいますか?」
「近くにいる兵士を左舷にやる!一人かどうかなど知らんがこのままのさばらせる訳にもいかん!」
兵士の質問に怒り心頭のリグレットは侵入者を廃除しに行かせると、指示を出す。そして自らが別の場所へと繋ぐ受話器を取ろうとした・・・その瞬間だった。






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