焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「・・・お待たせしました、皆さん」
「おお、ルーク様・・・もしかして残られたのはヴァン謡将を担ぎあげてくる為だったのですか?それでしたら私がお手伝いいたしたものを・・・」
戻って来たルークの後ろに担がれてきた老け髭の様子を見て、兵士はそれくらいの事は喜んでやらせていただいたのにと残念そうに言う。
「ありがとうございます。ですが、この程度の事であなた方の手を煩わせる事もありません。私の手勢だけで十分です。それより少し話したい事がありますので兵の皆さんを集めてはいただけないでしょうか?」
「はっ!かしこまりました!」
敬礼を返すと、兵士は辺りにいた他の兵達に呼び掛けるように急いで駆けていく。






そして5分もすると、ルーク達の前に一糸乱れぬ形で兵士達が整列を完了した。
「全員集まりました!」
「ご苦労様です。さて話というのは他でもありません。私達はアクゼリュスの住民の安全確保には成功しました。ですが、ここで問題がひとつあります。それはキムラスカ側の街道を使わず、どうやって住民の方々をマルクトまで移動させるか、です」
その問題提起に兵士達がざわつく。だがキムラスカの街道を使ってもいいのでは?という声はない。その声が出るということは預言を外そうとしている行動を取っているとモースに知らされるのではないかと考えていない、この状況でも自らの危機を感じ取れていない脳天気な雰囲気に流されるヒモとしか言いようがないからだ。しかしこの場にはそのような人物はいない、それが救いだった。
「落ち着いて下さい、皆さん。その問題についてはひとつ、私にある解決策があるのです」
「・・・それはどのような物でしょうか?ルーク様?」
解らないですと、兵士達は代表者の声に頷くように同時に静かになる。



「これから六神将がタルタロスにに乗ってアクゼリュスまで来ると思われます。私はそのタルタロスの神託の盾を六神将とともに捕縛し、私達がマルクトに住民の皆さんを送り届ける船としたいと思います」



「「「「・・・えぇっ!?」」」」
まさかの爆弾発言にやはり全員驚く。だがルークは驚きに全く気に止めず、続きを言う。
「ダアトがこのようにヴァン謡将を使ってまで預言を達成しようとしているのです。恐らくヴァン謡将が崩落に巻き込まれないように手助けをするため、このアクゼリュスにそろそろ来るはずです」
まあこれはシンクから話を聞いているため、アクゼリュスにタルタロスが来るとセフィロトの存在の説明無しで兵士達の納得をえる口実だ。



ルークが説明を続けようとすると、そこに影分身兵士が走って来た。
「申し上げます。ルーク様。タルタロスがバダン平原を越え、このアクゼリュスまで向かって来ています」
「そうか、わかった」
「ルーク様・・・よもや今からタルタロスへと向かうおつもりですか?」
「はい、そうです。ですが、行くのは私達ではありません」
「・・・はっ!よもやルーク様お一人で行かれるのですか!?いけません、そのような事!」
「あ、いえ。行くのは私でも貴方方でもありませんよ?」
「・・・えっ?」
ならば誰が?代表者以下の兵士達がそう思っていると、ルークはある人物に視線を向けて手を振る。






「行ってらっしゃ~い、ナルト~」






7/16ページ
スキ