焔と渦巻く忍法帖 第十三話

「ルーク様、ルーク様はキムラスカに反意を翻そうというのですか?あまりにも危険です!それは!」
「心配いりませんよ、私は死ぬつもりなど毛頭ありません。私が死ぬとしたらダアトとの戦いを終えてからです」
悲しくも壮烈な決意を燈した笑みは心酔する者を引き寄せる。そして笑みの対象は守護される者達に向けられている。
「・・・わかりました。それでしたらせめて私を共に付けていただかせてはもらえないでしょうか?」
落ちた、いや堕ちた。ナルトはルークに忠誠を誓わんばかりの代表者の声に、そう確信した。
「よろしいのですか?今まで剣を捧げてきたキムラスカに敵対するのは貴方も心苦しいはずでは・・・?」
「いえ、ルーク様がおっしゃったようにダアトがキムラスカにあれば私達と同じような境遇で殺される者も多々出て来るでしょう。ならばいっそ私もルーク様とキムラスカを真の意味で変えたいのです。預言を盾にダアトに言われるまま、暴を奮う事無き国へと」
「・・・私もルーク様に協力させてください!」
代表者の声に呼応したのか、今度は兵士の中から意に満ちた声が届く。
「私もお願いします!」
私も、私も。一人一人が声をあげ、ルークに協力したいと願いだす。しまいにはその声は怒号となり、兵士の中には誰ひとりとて共鳴しないものなどいなくなった。



「・・・皆さん!落ち着いて下さい!」
心は一つとなったところで、ルークは声を上げて皆を静まらせる。
「皆さんの意志、私も嬉しく思います。私にここまでの声をいただけた事を・・・ですが、私はあえて言わせていただきます。これからやろうとしている事はどのように言葉を尽くそうと国への反逆行為。貴方方は罪を被る事はありません。ついてきていただかなくても、事が収まれば貴方方はキムラスカに無事に戻れるように配慮します・・・これからの道が困難だと知ってそれでも尚、ついてきて下さる方は今一度手をあげてください。無理強いはしません」
強い意志を宿した兵士達に、ルークは尚決意を求める。すると、兵士達は誰ひとり躊躇う事なく勢いよく手を挙げた。
「・・・よろしいのですか?」
「「「「はい!」」」」
一斉に返された返事に、ルークは柔らかい笑みを兵士達に向ける。
「ありがとうございます。では早速貴方方にお願いしたい事があります。ここから少し離れた所にアクゼリュスの住民の皆さんのキャンプ地があります。こちらのパイロープさんに道案内をお願いしますので、しばらくの間魔物から皆さんの警護をお願いします。私は少しの間ここにいますので」
「はっ!かしこまりました!」
「では皆さんこちらに・・・」
パイロープが兵士を先導する形で先頭を歩く。兵士達は敬礼をルークにすると、その後を追いかけていった。






・・・そしてこの場に残されたのはルークとナルトと影分身兵士達、いまだ言葉一つ発さない老け髭のみとなった。
その状況の中、ルークは左手にチャクラの光を燈しナルトは手荷物から縄を取り出しながら老け髭に近づく。
「どうだってばよ?怪我の具合は」
口を限界まであけ、正に虫の息状態の息しかしていない老け髭を触診しているルークにナルトは縄を何故か鞭状にしならせ老け髭の顔をひっぱたきながら問う。
「ちょうどいいくらいだな。骨という骨にひびが入ってるくらいだ」
「あ、ちょうどいいくらいだってばね」
殺さない程度、適度な傷の付け方。二人の話し方からして、手加減していたというのがよくわかる。
「肋骨と左足・・・これは放置でいいか」
全身を触診し終えると、ルークは今挙げた部分以外を左手でかざし、チャクラ治療を開始する。



それらが終わってルークが老け髭から離れると同時に、影分身兵士が老け髭を担ぎあげる。そしてナルトが右手と左手を拘束するために後ろ手にして縛る。
「・・・んじゃ俺らも戻るってばよ」
「ああ」
縛り終えたナルト達はさっさと老け髭を担いだ影分身兵士達と共にキャンプ地へと歩いていった。






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