焔と渦巻く忍法帖 第十二話

言葉の裏には盛大な含みが組み込まれている。あまりルークとの付き合いが短い者には聞き取る事は出来ないが、ナルトは若干楽しそうに踏まれる言葉の韻からようやく待った時が来たのだというルークの喜びが現れてると理解していた。



「だ、大丈夫なのですか?・・・ダアトの重要地位にいるような人物を捕らえるなどと・・・」
だがパイロープはやはりダアトの老け髭を捕らえるという事に抵抗があるらしく、不安げに縋り付いてくる。だがいたってルークはそのパイロープに自信ありげな表情になり、パイロープを見る。
「大丈夫ですよ。今からヴァン謡将を捕らえるのはあくまで私の独断です。あなた方には責任はありません。ご心配なさらないで下さい。もし預言が間違いであったとしても被害を被るのは私達だけです」
「あ、あのそのこともそうなんですが、謡将ともいう地位ならダアトの中でも強いのではないのですか?ダアトの兵士は強いと聞きますし・・・」
ダアトの神託の盾というある程度の強者が集まる兵士をまとめる者にパイロープから多少の畏怖の念を感じる。だがルークは事もなげにあっさりと返す。
「今この場にいる私の兵士達は神託の盾の兵士達など一人でもあっさりと倒せる力を持っています」
確かにこの場にいる兵士なら一人でも簡単に神託の盾を部隊壊滅させるだけの力はある、何と言っても二人の影分身なのだから。
「それに・・・」



「ヴァン謡将ごときに負ける程私はそんなに弱くはありませんよ」



笑顔ながらに雄大に語りながら手を広げ言い放つルークはパイロープが気を手放さない程度に覇気を向けて圧力をかける。
「先程も言いましたが、あなたには被害は起きません。付いてくるだけでいいのです。だから付いて来てはくれませんか?」
手を差し延べ、絶対的強者のみが持ちうる余裕を見せる。絶対的強者という者が味方につけば人は自ずと自信を自らも分け与えられたかのように余裕を持ってしまう。
「・・・はい、わかりました。付いていきます」
安心という物を植え付けられたパイロープは考える間を空けながらも、不安な面持ちを見せずルークの手を取り、付いていくと宣言した。
「そうですか、では私達に付いて来て下さい。これからヴァン謡将がこれからアクゼリュスに来られると思いますので、機を見てヴァン謡将を捕らえます。ですのでしばらく私達と行動を共にお願いします」
「はい、わかりました」
笑顔のまま手をルークが離すと、周りにいた兵士の影分身が十人程パイロープの周りを固める。
「それでは行きましょうか」
その一言でルークを先頭に一行は老け髭を待ち受けるポイントまでの移動を開始した。












「いよいよだってばね?ルーク」
傍らにいるナルトは天真爛漫さと悪戯子悪魔っぽさを併せ持った笑みを浮かべて、ルークに愉快そうに話し掛ける。
「ああ、生かさず殺さず絞り上げて潰してやるよ。全部な」
ルークも唇を愉快そうに上げ、ナルトの返事を嬉しそうに返した。






彼らを縛るものは何もない



解き放たれた衝動は全てを飲み込む奔流と化す





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