焔と渦巻く忍法帖 第十二話

それからルーク達は丸一日程治療作業を続けた。






「・・・よーし、この人で最後と」
左手から抜き取った障気の塊をビチャッと桶に投げ入れるとルークは立ち上がり、んーっと伸びをする。一万近くの人間の治療を終えたルークは多少眠そうだ。



「お疲れ様ってばよ、ルーク」
そこにナルトが慰安の言葉をかけながら姿を表す。
「おう、そっちもお疲れ様。首尾はどうだ?」
「抜かりないってばよ」
「そっか。なら後は今この場にいる人達だけだから早くキャンプ地点に連れていくか」
「そうするってばよ」
顔を見合わせるとルークは桶を再び巻物の中に戻すよう印を結び、桶を消す。その巻物をまた袋の中に戻したルークは近くの住民を背負うと、同じように人を背負ったナルトと大量の影分身達とともに一瞬で姿を消した。






キャンプ地点に近付くと二人を始めとする団体はスピードを落とし、担いで走ってきた面々といった感じでキャンプ地の中心へと近付いていく。
「おお、無事でしたか」
ルーク達が近付いてきたことに気付いたパイロープは嬉しそうにルーク達に近付いてくる。
「パイロープさん、他の方々の具合はいかがでしょうか?」
「ええ、貴方方が治療をされてから体調が良くなったという声を皆から聞けました。本当にありがとうございます」
深々と下げられる頭に、ルークはパイロープの体を起こす。
「いえ、これは当然の事です。ですが、問題はまた別にあるのです」
「問題・・・と言いますと?」
パイロープの疑問の声、その声に呼応するかのように兵士の影分身が遠くから走ってきた。
「失礼します、ルーク様、港に待機させていた兵士から連絡が入りました。その連絡によれば港にヴァン謡将率いるキムラスカの団体が到着した模様です」
敬礼をしながら話される影分身からの情報は、港に連絡役として配置しておいたナルトの影分身からのもの。それを聞いたルークはパイロープに向かい真面目な表情を作る。
「ご苦労・・・これが問題なのです。昨日パイロープさんは言いましたね?預言だと信じたくはないと、アクゼリュス消滅が」
「は、はい」
「それで港に着いたというヴァン謡将とはダアトの首席総長という身分に当たります。パイロープさんにはお聞かせしていませんが、テープレコーダーにはヴァン謡将は預言をより確実に実現させるべく派遣された言わば刺客だという事も大詠師は言っていました。そこで問題として上げられるのは預言は本当に詠まれていたのかという事を確認出来ないかという事です」
「は、はい・・・それは確かに・・・」
「ですから私はひとつやらなければいけない事があるんです。それをやればパイロープさんの疑問にもお答えすることにも繋がるんですが、ついてきていただけますか?」
「な、何をやるんですか?」






「ヴァン謡将(老け髭)を捕まえて(吊しあげて)預言の真偽を聞こう(言葉を搾り出させて血とともに吐かせよう)と思っています」





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