ここで時間は数分だけ戻る・・・






「ふぅ～、やっぱり野外料理でもルークの料理は上手いってばよ」
「わざと下手に作らなくてもいいってのは楽なんだってここに来て初めて気付いたぞ、俺」
満腹だと腹をさするナルトに影分身のルークがあの同行者達には絶対見せない自然の笑みを浮かべる。
「あいつらと旅してた時、無駄に材料消費しないよう自分達の分だけ上手く作るってのがまたな～」
「おかげで料理おかわり出来なかったのが辛かったってばよ」
ルークは屋敷内にいたという事もあり、料理が出来る訳はないという設定を最初は貫こうとした。だが、わざわざ自ら作ってまでまずい料理を食べたくはなかった。そこでルークは自らとナルトの分だけそれこそ趣向を凝らしまずそうに見えるだけの絶品料理を作り、同行者達には見た目まんまの料理をそのまま見た目通りの味で提供していた。
本来なら料理を作るという行為も周りの者が止めねば不敬にあたるのだが、別にそんな事もルークは期待してはいなかったし、なにより自らが作った料理が１番恋しいというのもあったため料理当番も甘んじて受けていた。
「ま、帰ったら自来也のオッサンと宴会開くって決めてるからシンクも混ぜてパーッとやろうぜ」
「宴会？なんでだってばよ」
「・・・あー、まあそれを言うとなんだけど一人でご苦労様って意味でな」
「そういう事だってばね。ならパーッとやるってばよ」
実際火影公認の任務だから文句は言えない、だがこちらに来ると言い出したのはお前だろう。そう言いたかったルーク影分身であったが、言えば本体が戻ってきた時に確実に生死を賭けたバトルに発展する。それだけは避けたかったルーク影分身は「派手にしようぜ」と自来也への礼を考える事に思考を逃避させた。






「・・・ん？」
食事が終わって片付けも済ませた為に談笑をしていた二人であったが、突然ルーク影分身が眉をひそめて何かに反応する。
「あ、まさかこっちに来るって？」
「・・・そうなるな」
「・・・よく持ったってばよ」
本体のルークからの影分身への通信にナルトは心労を考え、ルークに同情を禁じえない。するとルーク影分身はおもむろに巻物を取り出し、勢いよく広げた。



‘ボンッ’
広げた瞬間影分身の目の前に煙が音と共に周りに広がる。そして煙が辺りから消え去っていくとそこにはルークがいた。
「ルーク～、ちょっとぶり～」
「おわっ！」
ルークの姿を確認し、ナルトは勢いよくルークの懐に飛び込んでいく。ルークは驚きながらもナルトをしっかり受け止める。
「大丈夫？何かされなかったってば？」
「ナルト、なんかやけに優しくねぇか？つーか俺がなんかされると思う？」
「俺が優しいのはいつもの事だってばよ？」
下からの見上げる視線にルークは嬉しそうに顔を綻ばせ、ナルトをギュッと強く抱きしめる。
「・・・そうだな、お前はいつもそうだよな」
ウンウンと頷くルークを見て、ナルトは余程の事があったのだと確信する。
「・・・ってことはなんかされたんだってばね？」
いつものルークなら笑顔のナルトの優しい凍てつく言葉に恐怖し、恐れおののいているはずだが今は違った。
「・・・聞いてくれるか？俺、あんま愚痴言いたくねぇんだけどよ・・・」
寧ろナルトの言葉に言い出しにくそうながらも言いたくて言いたくて仕方ないといったルークの声が聞こえてきた。
「・・・とりあえず俺と離れてからの流れを事細かに教えてくれってばよ」
大分我慢してたんだろう、ナルトは辛抱強いルークがここまでまいってしまっている事に心中での怒りを隠しながら優しく言う。
「おう、実はな・・・」
苦々しい顔をしながらルークはナルトを下ろし、対面上に話を始めた。




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