焔と渦巻く忍法帖 第十一話
(あーあー、随分と夢見てるよ。勝手に城を抜け出して、勝手に親善大使一行に同行するって言って、勝手に自分の考えで一行の針路を決めやがる。こんなふざけた事やってるのになんでお咎め無しで誉められるものでしかないと思えるんだろうな)
・・・はっきり言えばやってる事は力を得た子供が増長して自らが正義だと言いヒーローごっこをしだす子供以下でしかない。子供なら遊びで終わらせる事が出来るが、政治に多少は関わっている王女という身分の猪思考姫は遊びで終わらせる事は出来ない。
十八という年齢にまでなっているのに未だに我を通す事を正義と信じている辺りに、世間知らずでしかないと言える。
そもそも王女という貴族の最もたる一族の者が進んで王という、父でもあり貴族の長が命じた事を破っている。罰をあたえねば王としてだけでなく、父としても愚人の呼び声がかかってしまう。それを当たり前のように許せば尚更だ。
自らの行動が自分だけの責任ではない、王、ひいてはキムラスカの総評に関わってくる。失態を許す事が出来る唯一の方法は規律を破った以上の手柄を取るだけであるが、和平という状況は形だけではあるが既に作られつつある。後は条件を満たせば和平成立という状況に手柄など存在するはずがない。それは手柄などではなく、成功して当然と言われるからだ。視点を変えてイオンを奪還したからと言ってもそれはダアトの身内での出来事、その事を持ち出してしゃしゃり出てどうですかと言ってもキムラスカは勝手にしたことに何故手柄など与えないといけない。
どっちみちどう転んでも猪思考姫がインゴベルトからもらうのは叱咤の言葉と相応の罰でしかなく、間違っても許されるような状況になるわけがない。
つまり、猪思考姫の言っている事ははっきりと何の力も備わってない無駄な自信であるという事だ。
だが、他の者達はルークとは全く別の思考回路であるという事を忘れてはいけない。
「それは助かりますね」
「ああ、早くイオンを助けないとな」
「早く行きましょうよぉ。イオン様を早く追い掛けて助けなくちゃ」
「・・・じゃあナタリア様、これからよろしくお願いします」
四人は猪思考姫の言葉にすかさず同意を示す。特に自らが失態を犯しているというのにコウモリ娘はさも自分の失態はなかったかのような脳天気な声をあげている。
・・・その同意の早さはある意味では驚嘆にも値するが、ルークには都合のいい言葉だけしか受け付けない馬鹿としか見ることが出来ず、もはや反論する気すら完璧に霧散してしまっていた。
「・・・わかりました、ナタリア王女。ですが一つ約束していただきたい。あくまでも親善大使一行が目指すのはアクゼリュス、導師イオン奪還はあくまでアニスの役目。もし導師の居場所がわかったとしても場所次第では我々はアクゼリュス行きを優先させていただきます。よろしいか?」
「何故ですの!居場所が判ればそこに向かうべきなのは当然でしょう!」
「・・・私はアクゼリュス行きに遅れるような場所には行けないと申し上げただけです。それとも私にアクゼリュスに遅れて到着して陛下の失望を買えと?それに壊滅状態のアクゼリュス住民を助けるには一刻も早い処置が必要だからそう申し上げているだけです」
「うっ・・・わかりましたわ」
陛下の名を出され、渋々ながら返事を返す。それを見たルークは先を歩きだしながら言葉を放つ。
「じゃあ行くぞ。アクゼリュスは待ってくんねぇかんな」
スタスタ先を歩き始めたルークに他の面々はいい顔をしない、だが逆らう事に意味はないので各々何も言わずルークの後ろを歩いていった。
「・・・ナルトー、もう俺後一回でそっち行くわ」
「なんか言ったか?ルーク」
「なんでもねぇよ」
意味を考えてはいけない
中身がないだけの人物達に合わせる事は無駄でしかないのだから
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・・・はっきり言えばやってる事は力を得た子供が増長して自らが正義だと言いヒーローごっこをしだす子供以下でしかない。子供なら遊びで終わらせる事が出来るが、政治に多少は関わっている王女という身分の猪思考姫は遊びで終わらせる事は出来ない。
十八という年齢にまでなっているのに未だに我を通す事を正義と信じている辺りに、世間知らずでしかないと言える。
そもそも王女という貴族の最もたる一族の者が進んで王という、父でもあり貴族の長が命じた事を破っている。罰をあたえねば王としてだけでなく、父としても愚人の呼び声がかかってしまう。それを当たり前のように許せば尚更だ。
自らの行動が自分だけの責任ではない、王、ひいてはキムラスカの総評に関わってくる。失態を許す事が出来る唯一の方法は規律を破った以上の手柄を取るだけであるが、和平という状況は形だけではあるが既に作られつつある。後は条件を満たせば和平成立という状況に手柄など存在するはずがない。それは手柄などではなく、成功して当然と言われるからだ。視点を変えてイオンを奪還したからと言ってもそれはダアトの身内での出来事、その事を持ち出してしゃしゃり出てどうですかと言ってもキムラスカは勝手にしたことに何故手柄など与えないといけない。
どっちみちどう転んでも猪思考姫がインゴベルトからもらうのは叱咤の言葉と相応の罰でしかなく、間違っても許されるような状況になるわけがない。
つまり、猪思考姫の言っている事ははっきりと何の力も備わってない無駄な自信であるという事だ。
だが、他の者達はルークとは全く別の思考回路であるという事を忘れてはいけない。
「それは助かりますね」
「ああ、早くイオンを助けないとな」
「早く行きましょうよぉ。イオン様を早く追い掛けて助けなくちゃ」
「・・・じゃあナタリア様、これからよろしくお願いします」
四人は猪思考姫の言葉にすかさず同意を示す。特に自らが失態を犯しているというのにコウモリ娘はさも自分の失態はなかったかのような脳天気な声をあげている。
・・・その同意の早さはある意味では驚嘆にも値するが、ルークには都合のいい言葉だけしか受け付けない馬鹿としか見ることが出来ず、もはや反論する気すら完璧に霧散してしまっていた。
「・・・わかりました、ナタリア王女。ですが一つ約束していただきたい。あくまでも親善大使一行が目指すのはアクゼリュス、導師イオン奪還はあくまでアニスの役目。もし導師の居場所がわかったとしても場所次第では我々はアクゼリュス行きを優先させていただきます。よろしいか?」
「何故ですの!居場所が判ればそこに向かうべきなのは当然でしょう!」
「・・・私はアクゼリュス行きに遅れるような場所には行けないと申し上げただけです。それとも私にアクゼリュスに遅れて到着して陛下の失望を買えと?それに壊滅状態のアクゼリュス住民を助けるには一刻も早い処置が必要だからそう申し上げているだけです」
「うっ・・・わかりましたわ」
陛下の名を出され、渋々ながら返事を返す。それを見たルークは先を歩きだしながら言葉を放つ。
「じゃあ行くぞ。アクゼリュスは待ってくんねぇかんな」
スタスタ先を歩き始めたルークに他の面々はいい顔をしない、だが逆らう事に意味はないので各々何も言わずルークの後ろを歩いていった。
「・・・ナルトー、もう俺後一回でそっち行くわ」
「なんか言ったか?ルーク」
「なんでもねぇよ」
意味を考えてはいけない
中身がないだけの人物達に合わせる事は無駄でしかないのだから
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