焔と渦巻く忍法帖 第十一話
「こちらは少人数の方が目立たなくてすみます。これ以上同行者を増やさないようにしましょう。話を通しておきますので、街の出口で待っていて下さい」
ルークが老け髭がさっさと離れて行った事に喜んでいると、眼鏡狸が淡々と話を進めて自らも離れていく。その光景を見てルークは残った二人に向き直る。
「んじゃま、とっとと行くか」
やる気無し、ルークの態度からははっきりと伝わってくる。だがやる気がないのは任に対してではなく、この二人と会話することに対してだ。
「・・・ルーク、お前謁見の間でのやる気はどこに行ったんだ?」
「そうよ、どうせなんだからいつもあれくらいしっかりしていたらどうなの?見苦しいわ、今のあなた」
そこに二人からもうちょっとマシな態度を取ってくれと露骨に伝わる言葉がかかってくる。特に修頭胸からは悪意すら感じるのが一目瞭然にわかるほど、直に言葉から伝わってくる。
「・・・さっさと行くぞ、おっさんが出口で待ってろっつってたろ」
先程までの気分がもう無駄になったと、若干不機嫌さをかもしだしながらルークは二人の言葉を無視して先に行く。後ろで「待てよ、ルーク」だとか「自分勝手ね」とか聞こえて来る言葉にもルークは意に介そうとする事すらなくただひたすら前を向いて歩いていった。
そんな気分が下降一直線なルークが下の階層に降りる昇降機から降りると、また嫌な気配が更にひとつ下の階層に降りる昇降機の前に陣取っているのを感じ取っていた。
(気配はひとつ・・・やっぱあいつじゃ抜けないよな)
そんな事を思いながらもルークはまたひとつの考えが頭によぎっていた。
(誰か待ち伏せ、っつーか俺ら以外待ち伏せするやついねーか)
気配の様子から察しても息を潜めて何か獲物を狙う体勢というのが正しい。
(・・・来るな)
そうルークが確信を持って下に降りる昇降機が見えるような位置まで階段を降りると、予想通りの人物がいかにも今あなたたちを見つけましたといわんばかりに、こちらに駆け寄ってきた。
「あー!ルーク様ぁ!」
正体はコウモリ娘、ルークはイオンさらわれてよく嬉しそうな声をあげてこちらに来れるなと思いながら、目の前に無理矢理割り込んできた無能兵士を冷めた目で見つめていた。
「逢いたかったですぅ!・・・でもルーク様はいつもティアと一緒なんですね・・・ずるいなぁ」
「あ・・・「別に気にしなくていいぜ、陛下から受けた任務だから一緒にいるんだからな」」
気に食わない発言をもう聞きたくもないと、ルークは意図的に言葉を遮り話を自分のリードで進めようとする。そしてルークはコウモリ娘への質疑を開始しだした。
「それよりイオンはどうしたんだ?一緒じゃねぇのか?」
肩に手を置き、目をしっかりと合わせてルークは真正面からコウモリ娘を見据える。その肩にかかる力はコウモリ娘の動きを制限し、真っすぐにしか視線を向けられない。視線を意図的に外す事が出来ないこの状態に、仕方なくコウモリ娘は気まずそうな表情ながら話始めた。
「・・・朝起きたらイオン様のベッドがもぬけの空で・・・街を探したら、どこかのサーカス団みたいな人達がイオン様っぽい人を街の外まで連れていったって・・・」
まさかここまで馬鹿正直に自分のミスを明らかにするか。いくら迫力負けしたからといっても言いようが少しはあるんじゃないのかとルークは思った。
「サーカス団?おい、まさか・・・」
「やられましたね、多分漆黒の翼の仕業だ」
そこに手続きとやらを終えてきた眼鏡狸が会話に加わってくる。だがルークはその事に感心を寄せず、尚コウモリ娘に質問をする。
「街の外にイオンがいるかもしれないってのに、どうしてアニスはここにいるんだ?」
「・・・街の外に六神将のシンクがいて邪魔してくるから出られないんですぅ~」
あくまで困ったように猫撫で声で話し掛けてくるその声の裏は自分達に助けを求めにきたというのが本音だとルークには感じ取れていた。
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ルークが老け髭がさっさと離れて行った事に喜んでいると、眼鏡狸が淡々と話を進めて自らも離れていく。その光景を見てルークは残った二人に向き直る。
「んじゃま、とっとと行くか」
やる気無し、ルークの態度からははっきりと伝わってくる。だがやる気がないのは任に対してではなく、この二人と会話することに対してだ。
「・・・ルーク、お前謁見の間でのやる気はどこに行ったんだ?」
「そうよ、どうせなんだからいつもあれくらいしっかりしていたらどうなの?見苦しいわ、今のあなた」
そこに二人からもうちょっとマシな態度を取ってくれと露骨に伝わる言葉がかかってくる。特に修頭胸からは悪意すら感じるのが一目瞭然にわかるほど、直に言葉から伝わってくる。
「・・・さっさと行くぞ、おっさんが出口で待ってろっつってたろ」
先程までの気分がもう無駄になったと、若干不機嫌さをかもしだしながらルークは二人の言葉を無視して先に行く。後ろで「待てよ、ルーク」だとか「自分勝手ね」とか聞こえて来る言葉にもルークは意に介そうとする事すらなくただひたすら前を向いて歩いていった。
そんな気分が下降一直線なルークが下の階層に降りる昇降機から降りると、また嫌な気配が更にひとつ下の階層に降りる昇降機の前に陣取っているのを感じ取っていた。
(気配はひとつ・・・やっぱあいつじゃ抜けないよな)
そんな事を思いながらもルークはまたひとつの考えが頭によぎっていた。
(誰か待ち伏せ、っつーか俺ら以外待ち伏せするやついねーか)
気配の様子から察しても息を潜めて何か獲物を狙う体勢というのが正しい。
(・・・来るな)
そうルークが確信を持って下に降りる昇降機が見えるような位置まで階段を降りると、予想通りの人物がいかにも今あなたたちを見つけましたといわんばかりに、こちらに駆け寄ってきた。
「あー!ルーク様ぁ!」
正体はコウモリ娘、ルークはイオンさらわれてよく嬉しそうな声をあげてこちらに来れるなと思いながら、目の前に無理矢理割り込んできた無能兵士を冷めた目で見つめていた。
「逢いたかったですぅ!・・・でもルーク様はいつもティアと一緒なんですね・・・ずるいなぁ」
「あ・・・「別に気にしなくていいぜ、陛下から受けた任務だから一緒にいるんだからな」」
気に食わない発言をもう聞きたくもないと、ルークは意図的に言葉を遮り話を自分のリードで進めようとする。そしてルークはコウモリ娘への質疑を開始しだした。
「それよりイオンはどうしたんだ?一緒じゃねぇのか?」
肩に手を置き、目をしっかりと合わせてルークは真正面からコウモリ娘を見据える。その肩にかかる力はコウモリ娘の動きを制限し、真っすぐにしか視線を向けられない。視線を意図的に外す事が出来ないこの状態に、仕方なくコウモリ娘は気まずそうな表情ながら話始めた。
「・・・朝起きたらイオン様のベッドがもぬけの空で・・・街を探したら、どこかのサーカス団みたいな人達がイオン様っぽい人を街の外まで連れていったって・・・」
まさかここまで馬鹿正直に自分のミスを明らかにするか。いくら迫力負けしたからといっても言いようが少しはあるんじゃないのかとルークは思った。
「サーカス団?おい、まさか・・・」
「やられましたね、多分漆黒の翼の仕業だ」
そこに手続きとやらを終えてきた眼鏡狸が会話に加わってくる。だがルークはその事に感心を寄せず、尚コウモリ娘に質問をする。
「街の外にイオンがいるかもしれないってのに、どうしてアニスはここにいるんだ?」
「・・・街の外に六神将のシンクがいて邪魔してくるから出られないんですぅ~」
あくまで困ったように猫撫で声で話し掛けてくるその声の裏は自分達に助けを求めにきたというのが本音だとルークには感じ取れていた。
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