焔と渦巻く忍法帖 第十一話

ルークがそう思うのはまたナルトの影分身による三人の言葉を思い出しているからである。実際のその内容は・・・



「・・・このアクゼリュス行きでルーク様とあの死霊使いには死んでいただかなければなりません。ルーク様はもとより、死霊使いが死んだらキムラスカ軍はマルクトとの戦でかなり優位になります」
「・・・その前にモース、一ついいか?」
「は・・・何でしょう。陛下?」
「お主の配下が行ったクリムゾンの屋敷襲撃の件、いかがする?あれは相当揉めたのであろう、クリムゾン?」
「はい、にも関わらず私には謝罪もせずにのうのうと屋敷にまで平気で入ってまいりました。ダアトの兵士教育はいかがされているのですか?」
「・・・申し訳ありません。まさかティアがあのような行動を取るとは私にも・・・」
「・・・そなたがそう言うのであればあのような騒ぎは本人だけの責任になるのであろうなぁ・・・?ダアトの一兵士としてではなく、一個人としてな」
「・・・わかりました、責任は私が誠意を込めて説明してアクゼリュスヘ向かうように言いましょう」
「・・・ではついでと言ってはなんですが、ガイもついでにアクゼリュスヘ同行させましょう・・・彼は疲れると態度が素に戻る癖があるらしくて、大分以前から私がいない場所では気を抜いて素に戻っていたらしいのですよ。特にルークの前だけでは気を許していたらしく、大分気を抜いていたようで。ですからこのアクゼリュスの後で彼に休みを取っていただきたいと思いましてね・・・いかがでしょうか?」
「わしは構わん、モースはどうだ?」
「私も構いません・・・ふふふ、順調にアクゼリュス行きの面々の顔触れが集まりましたなぁ・・・」



・・・というものである。遠回しに言ってはいるが、修頭胸とフェミ男スパッツは死んでこいと言われたも同然なのだ。自らの上司、そして主からまさか死刑台への読み上げをされているとは夢にも思っていないだろう。修頭胸は罪が明らかになっている分これはすぐにわかる。だがフェミ男スパッツに関しては迂闊としか言いようがない。普段の態度はルークだけしかいないと決めつけるや否や、即座にタメ口になる安易さ。誰かに見られていない保証などないし、実際にルークはその時に誰かしらの視線やら気配やらを何回も感じている。誰かの口から出た噂が公爵の耳に入っていても全然おかしくはない。これも実際、身から出た錆なのでルークは同情の余地はないと思っていた。






「うむ、代表は今言った者達になる。頼んだぞ、ルーク」
「は「お父様、やはり私も使者として一緒に・・・」
早く場を離れようと返事を返そうとしたルークであったが、陛下の隣に座っていた猪思考姫が言葉を遮り自分も行くと言い出した。
「それはならぬと昨晩も申したはず!」
だが即座に陛下から禁止の怒声がかかる。そこでルークは更に釘を刺そうと口を出した。
「ではナタリア王女は行かれないという事でよろしいのですか?」
「ルーク!私も連れていくと言ってください!」
余程自らも行かなければいけないと思い込んでいるのか、ルークを味方につけようと必死な形相で声を荒くする。
「とは言っても・・・陛下の命に私は逆らう事はできません。ナタリア王女もキムラスカの一臣民としての自覚がございますなら、このことは理解していただきたい」
だがルークは連れていく気など毛頭ない。
「私は出発の準備がございますので、これにて失礼いたします」
また何か言われて付き合わされるのは面倒なので、ルークはさっさと丁寧に頭を下げてこれで終わりだと強引に場を制した。





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