焔と渦巻く忍法帖 第十一話

「・・・ふ~ん、今俺らが立ってるのは障気を避けるために昔に作られた外殻大地って事ね」
「疑わないんだね」
「今更驚く必要なんてなー。だってナルトに異世界があるって知らされた時から色々いろんな信じられないような物を見てきた訳だし、シンクの言葉に嘘はないって俺が感じてるから」
「・・・ふ、ふん・・・」
ルークからの言葉にシンクは顔を背ける。言葉面では不遜に聞こえるが、シンクは大分照れているのがルークには感じ取れた。



そんな二人はそれからは取り留めのない会話を続けていた。そこそこに会話をしていると、ピクッとルークがバチカルの街の方を向いた。ルークがいきなり話途中に顔の向きを変えた事をシンクが不思議に思い、同じように顔を向けるとそこには蔑みの対象にしかシンクには思えない存在が焦った顔でこちらに走って来ていた。
「・・・今頃気付いたの?あいつ・・・」
「遅ぉ・・・」
確かに今は朝という時間ではあるが、それでも日が昇って大分経っている。
「つーか、顔は焦ってるけど身なりは明らかに整えてから来てるな。あれ」
「・・・分かるよ、本当に急いでるならもう少し服装は乱れていていい筈だし」
確かにコウモリ娘の様子は昨日から何一つ変わってはいない。しかしその何一つ変わっていないのが本気で焦っているのかと、二人には見えていた。
イオンがさらわれたのに気付かないのはここでは置いておくとして、さらわれたならさらわれたでそう気付いたのなら身なりに気を使う事など有り得ない。イオンの身に何か起こっているのは明らかなのに、そんな余裕をこける時点で焦っているとは間違っても言えない。
「護衛が寝てるのも問題だけど、寝るならあの髪型なら髪止めのゴムを外して寝るだろ。ツインテールなら髪型整えるのも時間かかるだろうし」
「それにピッチリと服装は乱れ一つないよ。上に急いで羽織っただけって感じが全く見えないし」
二人の言葉には隠しもしないコウモリ娘への呆れが感じ取れる。
「・・・シンク、あいつここ通さなくていいぞ。つーか、通すな」
「・・・一応まだ僕は六神将だからね。あんなの通して恥を残して行きたくないから、いいよ」
もはや情など沸く筈もない、ルークは自らの役目すら果たせない役立たずの護衛の味方をするよりシンクに自らの態度から出た錆を理解させるべくシンクに止めるように頼んだ。対するシンクもルークと同じようで、ルークの言葉にコウモリ娘への軽蔑を含んだ言葉で迷う事なく即答した。
「じゃあ俺は屋敷内にいる影分身と入れ代わってくるぞ・・・失礼します、シンク参謀総長」
後半は声をよく聞く成人男性に変えてルークはシンクに敬礼をして、バチカルとは逆方向へと去っていった。
「・・・逆方向に行ったけど、ルークはバチカルの方に戻れるんだよね」
今までの傾向から見ても、ルークなら全然平気で行けるだろう。そうシンクは結論づけてバチカルの方から来るコウモリ娘へ視線を呆れ混じりで向けた。





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