焔と渦巻く忍法帖 第十一話

「イオンさらって六神将・・・っていうか、老け髭は何をしようとしてんだ?確かセントビナーじゃあセフィロトに連れていったとかって聞いたけど?」
「あれ・・・?そのことはイオンから詳しく聞いたんじゃないの?」
「あぁ、イオンのやつは変なところで教団の秘密事項とか言って言えないって言われたんだよ。そろそろおまえらには六神将から離れてもらうんだし、教えてくれよ」
「え?離れる?」
「アクゼリュスからシンクとサフィールとアリエッタには俺達と一緒に行動することにしたから、俺ら協議の元で」
「・・・ちょっと待って。僕と死神はともかく、なんでアリエッタもなのさ?あの場にはいなかったでしょ」
「あー、そういや言ってなかったな。俺らアリエッタに会って話してな。アリエッタがあのまま老け髭に利用されて終わるのも見過ごせないし、潰れるってわかってるところにアリエッタを置きたくないから、おまえらと一緒に六神将から離れてもらおうって考えだよ」
「・・・またいきなりだね。でもいいよ、僕は」
「おーし、んじゃ適当に俺らがアクゼリュスにつくまえに三人はダアトに戻ってくれ。アクゼリュスが崩落するかどうかは別にしても、後で迎えに行くから」
「・・・アクゼリュス崩落ってどこで知ったのさ。少なくても僕らと会った時には詠まれている預言の事は知らなかったようだったけど」
「それはモースがインゴベルト陛下とファブレ公爵に綺麗さっぱり話してくれる現場をナルトが目撃したからな。おかげで俺っていうか本来煙デコが殺される場面が判明したぜ」
「・・・何あっさりと預言ばらしてるのさ、あいつ・・・まぁ、いいや。老け髭がイオンをさらえって言ったのはそのアクゼリュスにもセフィロトがあるからだよ」
「あー本題聞いてなかったな、そういや」
「簡単に説明するけどセフィロトにはパッセージリングっていう場所に続く扉があるんだ。で、その扉はダアト式封呪っていう封印が施されてる。イオンをさらうのはダアト式封呪を解くためにダアト式譜術を使わせるためなんだ」
「・・・成程、イオンは体力が劣化してはいるけどダアト式譜術は使える。シンクはダアト式譜術はイオンよりは使えないってことか」
「・・・察しがいいね、それに僕に対して遠慮がない」
「俺は別にダアト式譜術が欲しいからシンクを誘ってるんじゃねぇよ。俺はお前が気に入ったから誘ったんだ。イオンとの違いの事を言われて気に入らないんだったら、離れていいぜ」
その言葉にシンクは仮面でわからないが、ルーク達が自分を見てくれているという喜びでいっぱいになっていた。
「・・・別に。僕はあんたらから離れる気はないし、イオンの事なんて今更どうでもいいんだよ」
確かに自分にはイオンの立場を認めたくはないが羨んだ時期もあった。しかしルークは誰かの代わりではない自分を見ているといった。態度は素っ気ないが、シンクはたまらなく泣きたく嬉しい気持ちでこの場に立っていた。
「そんな事よりも、その扉の先にあるのがパッセージリングさ。で、そのパッセージリングは各地にいくつも点在している。アクゼリュスもパッセージリングのある土地の一つ、リングを壊せば土地を支えていた柱がなくなり後は魔界に一直線ってわけさ」
「・・・魔界?どういう場所だ?」
「魔界っていうのは・・・」
魔界についての疑問にシンクは自分の知る知識を余す事なく伝えようと真面目にルークに向かい合う。だが、真面目でなければシンクは今にも泣きそうな自分の心に歯止めをかけることが出来なかった。
真面目に自分を律する声でルークと話すシンク。会話の最中彼は安らぎを得た事を無自覚に確信すると同時に、ルーク達のためにと行動する決心を新たに固めていた。





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