焔と渦巻く忍法帖 第十一話

「・・・よし、んじゃこれでいくか」
太陽が昇り始めた風景から見て、今は明け方なのだと理解出来る。そのような時間になるまで二人はじっくりと話し合い、今結論を出した。
「よし、じゃあさっさと俺は行くってばよ」
ナルトがもう行くというとルークは印を組み、自らの影分身を出す。そしてその影分身にルークは巻物を取り出し手渡す。
「わりぃナルト。頼む」
「別にいいってばよ。じゃあ行ってきまーす」
ナルトが行くという言葉を出した瞬間、ナルトとルークの影分身は部屋を一瞬で後にした。
「さーてっとっ。暇だし街でも見て回るか」
ナルトを見送るとルークはまた印を組み、影分身を作る。その影分身は出てきた瞬間ベッドに横になる。
「身代わりよろしくなー」
影分身にそういうと、ルークもまた部屋から一瞬で姿を消し去っていった。






朝日を浴びながらバチカルの街中をゆっくりとルークは散策する。まだ朝というには少しばかり早い時間なので、所定の位置に配置されている兵士くらいしか周りに人はいない。
そんななか歩いていると、何やら大きな袋を担いで辺りをキョロキョロしている派手な団体を発見した。
「うわぁ・・・成功したんだ、あいつら・・・」
ルークが様子を見ながら呆れ口調の小声で呟く。
「役にたたねぇどころの騒ぎじゃねぇぞ、あいつ」
団体に担がれている袋から感じる気配は間違いなく自分の知る気配、ルークは一応の確認の為にその団体の後をつける事にした。






団体の後をつけると、ルークは自分の知る顔をバチカルに入る橋の入口で何人かの兵士を連れている姿で発見した。そこでルークは橋から飛び降りてチャクラ吸着で橋にくっつき、出来るだけ間近で話しを聞こうと橋の下から団体に近付いていった。



「ほら、このとおり導師イオンを連れて来たよ」
団体のリーダー格の女性がルークの予想通りの人物の名前を出すと同時に、連れの小太りでヒゲを生やした男が神託の盾兵士にイオンの入った袋を手渡す。
「・・・やけに早かったけど何にもなかったの?」
そこにシンクが三人を見渡して疑問の声をあげる。
「あぁ、導師守護役だったら寝ていたよ。まさか私らもこんなにあっさりといき過ぎるとは思わなかったけどね・・・」
女の声には明らかに拍子抜けしたといった感じの響きが感じられる。
「・・・そう、ならこれであんたらの役目はもう終わりだ。これが報酬だよ」
シンクは兵士に視線をやり、報酬の入っているらしい袋を手渡させる。
「・・・確かに。じゃあまた何かあったらいつでも頼むよ」
報酬を確認すると、女は満足げに声をあげてバチカルの入口から男二人を引き連れて去っていった。
「シンク参謀総長、これからいかがしますか?」
「おまえ達はタルタロスにイオンを連れていけ。僕はここで連中の動きを見張っておく」
「はっ、失礼します」
シンクの指示に兵士達はタルタロスが置いてあるのであろうバチカルの外へイオンを連れていった。
「・・・はぁ、ルーク達から話には聞いていたけどここまで愚かしいと哀れさすら込み上げてくるね」
兵士達がいなくなった瞬間、シンクは威厳を持った雰囲気をかなぐり捨て溜息混じりに呟く。
「シンク・・・その言葉すっげえ嬉しいぞ」
「ウワァッ!!」
いきなり耳元に現れた声にシンクはらしくなく、歳相応な驚きを見せて急いで後ろを振り向く。そのシンクの視線には思い当たる声とは全く別人の神託の盾兵士が立っていた。
「・・・え・・・もしかして、ルークなの?」
「ピーンポーン。正解~。いい読みだぞ~シンク」
「・・・なんなのさ、その姿は」
「これは変化の術で変化してんだよ。シンク、どうせだからこのまましばらく駄弁ろうぜ。色々話したいこともあるし」
まさかとは思ったがこんな事まで出来るのか、そうシンクは思った。だがルーク達なのでそれもありなのかと納得したシンクは、いいよとルークの誘いに答え話をする体勢に入った。





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