焔と渦巻く忍法帖 第十話

(ふぅ・・・めんどくさくなる前に退散させてよかった~)
リビングの扉から出ていったルークは内心でホッとする。
(つーか、こんなめんどくせぇ環境にいる時点でめんどくせぇんだよな。一々気を遣うのはやっぱめんどくせぇよな・・・)
あーシカマルの気持ち解るわ、ルークは平穏でいたいというシカマルの気持ちを少し理解した。






「おお、ルーク!本当にルークなのね・・・母は心配しておりました。お前がまた良からぬ輩にさらわれたのではないかと・・・」
修頭胸を引き連れ、公爵の部屋の扉を開けたルークの目に入ったのはうれしそうな顔をしているシュザンヌだった。
「心配をおかけしました、母上。このとおり無事に帰ってまいりました」
そうルークが頭を下げると、後ろに着いて来ていた修頭胸がルークより一歩前に進み出る。
「奥様、お許しください。私が場所もわきまえず我が兄を討ち倒さんとしたためご子息を巻き込んでしまいました」
(随分とおめでたい思考だな。被害者みねぇと罪があるなんて思いもしないなんてな。あ、違うか。こいつからすれば罪とかじゃなく、あくまで事故なんだし)
ひざまずいて詫びる修頭胸を横目にまた毒を心ではくルーク。
この時点で三つの罪を自分で白状しているというのに、謝罪だけで済ませる気がまるわかりな態度が罪を理解していないいい証拠。
(やっぱり移る前に、こいつのめすか・・・)
じゃないと気の毒だしな、そんな事をルークが思っていると修頭胸のルーク誘拐疑惑を否定する発言が聞こえてくる。
「ローレライとユリアにかけて違うと断言します」
「ありがとう。でもティアさん。何があったかはわかりませんがあなたも実の兄を討とうなどと考えるのはおやめなさい。血縁同士戦うのは悲しいことです」
その言葉に、ルークはナルトが現在最も嫌っている兄弟を思い出す。
(血縁同士戦うのは悲しいことって、ならサスケとイタチが争うのは奥方からすれば悲しいことなんだろうな。どっちかといえば老け髭兄妹の方が救いようがねぇけど)
イタチとサスケの争いは根っこが単純でわかりやすい分、元から絶てばいいとあっさり結論づく。復讐という単純な理由の分、周りを振り返る必要などないから意見を聞く気などない、現にサスケはそうして木の葉隠れの里を抜けたのだから。ならばどうすればその憎しみは止まるのか?それは恨みを放つものと受けるもの、どちらか一人かどちらとも消えれば話は簡単につくのだから。ナルトの周りにいる下忍仲間はともかく、里の上層部はもう戻ってこなくていいとそう判断して結論づけた。
しかし老け髭兄妹は互いに歩み寄ろうとしている。正確にはただ老け髭の顔に惑わされている修頭胸が現在勝手に迷っているだけであるが。そんな状態が続くようならただ惰性で気まずい空間が続くだけだ。そんな関係の状態に対しての結論など、他人が判断するような代物ですらない。二人で解決しろ、そんなもの。事情を聞けばお節介な者でもそう言うだろう。
(結局修頭胸の意志の甘さが煮え切らない状況の始まりなんだよな)
あれだけの敵意を見せていたのに、今は兄さんと名前を呼ばずにいる。なんなんだったんだその敵意、と思うのも無理はない。
(あーあ、めんどくせぇ。・・・ナルトどうしてっかな?)
自らの思考で頭を埋めるのはめんどくさいと思ったルークは現在ナルトがどうしているのかを気にしだした。





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