焔と渦巻く忍法帖 第十話
(うわ、やっぱりな。明らかに俺嫌いだ、こいつ)
上げた頭の先にいた顔にゲンナリとするルーク。
ルークが嫌いな人種は大きく二つに分かれる。一つは礼儀知らずの馬鹿、もう一つは虎の威を借る狐。ルークが感じ取ったのは後者の方、パッと見た体型と顔だけで結論がついていた。
(出来損ないの恵比寿か、てめぇは。ブクブク肥りやがって。聖職者にあるまじき体型だろ)
隣のイオンと比較してみても背格好は大体同じだが、年齢から来る衰えを差し引いても体型的に腹の出方は有り得ない程にモースは膨れている。モースより上の立場にいるイオンは肉体年齢的には自分より下くらいだが、それでもモースが普段食べているものと同じ食べ物を食べていれば幾分かは今より肉付きがいい体になるだろう。
(大分裏でいいもん食べてきてんだろうな、自分の立場に溺れて)
宗教団体というならば信者からのお布施などの寄進の形でダアトは成り立っているはず、ましてや全世界から崇められているローレライ教団。集まる金の額は桁違いだと簡単に予想出来る。そんな中で起こりやすいのは上の立場にいる人間の癒着、簡単に言えば金の横領だ。イオンを除けばモースは事実上のダアトの最高責任者、やろうと思えば出来ないことはない。
(ちょっとつつけば埃のように悪事がいっぱい出てくんな、こいつ・・・やっぱ潰してぇな、ダアトもろとも)
足元を気にせず立場に酔っぱらってきた代償を払わせたいと思ったルークは、視線の先に陛下を捉えながらも内心でモースを潰す対象と認識した。
「よくマルクトから無事に戻ってくれた、心配しておったぞ」
「心遣い痛みいります」
「してそなたの横にいるのが・・・」
「ローレライ教団の導師イオンと、マルクトのピオニー皇帝陛下の名代の使者ジェイド・カーティス大佐でございます」
「ご無沙汰しております陛下。イオンにございます」
「導師イオン・・・お、お捜ししておりましたぞ・・・」
(嘘つくんじゃないってばよ、馬~鹿)
会話の最中のうろたえたモースを見て、違うだろと心でつっこみをいれるナルト。ナルトもこの謁見の間に忍び込んでいた。侵入したタイミングはルークが扉を開けた直後、そこで入り込んだナルトは天井に移動して張り付いてきながらその様子を見ていた。
(ここにイオンが来るのは計算外、そんな風にしか見えないってばよ)
そうナルトが思っていると、コウモリ娘が近くにいた陛下の臣に親書を渡す。そんな中、ルークが動き出そうとしている気配をナルトは目にしていた。
「陛下、大詠師モースの言葉には誤りがございます。私はこの目でマルクトを見てまいりました。首都へは行きませんでしたが、エンゲーブとセントビナーには戦争への準備の様相は確認出来ませんでした」
「な、何を言うか!・・・私はマルクトの脅威を陛下に・・・」
ピクッとナルトに苛立ちが募る。ルークが嫌いな物はナルトも嫌い、大体の好みが似通っている二人はこういうところでシンクロすることが多かった。
「ならば大詠師モース、お聞きしてよろしいでしょうか?」
モースの言葉を意図的に遮り、感情を読み取り辛い冷たげな言葉で告げるルーク。この丁寧語で語りかけなければいけない状態のルークは言葉が礼儀を心得ている分、普段の態度のルークより威圧感を感じる怒りになる。それをよく知ってるナルトはモースのうろたえぶりに期待する体勢に入った。
「あなたはいつどこで誰からその情報を聞かれたのですか?」
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上げた頭の先にいた顔にゲンナリとするルーク。
ルークが嫌いな人種は大きく二つに分かれる。一つは礼儀知らずの馬鹿、もう一つは虎の威を借る狐。ルークが感じ取ったのは後者の方、パッと見た体型と顔だけで結論がついていた。
(出来損ないの恵比寿か、てめぇは。ブクブク肥りやがって。聖職者にあるまじき体型だろ)
隣のイオンと比較してみても背格好は大体同じだが、年齢から来る衰えを差し引いても体型的に腹の出方は有り得ない程にモースは膨れている。モースより上の立場にいるイオンは肉体年齢的には自分より下くらいだが、それでもモースが普段食べているものと同じ食べ物を食べていれば幾分かは今より肉付きがいい体になるだろう。
(大分裏でいいもん食べてきてんだろうな、自分の立場に溺れて)
宗教団体というならば信者からのお布施などの寄進の形でダアトは成り立っているはず、ましてや全世界から崇められているローレライ教団。集まる金の額は桁違いだと簡単に予想出来る。そんな中で起こりやすいのは上の立場にいる人間の癒着、簡単に言えば金の横領だ。イオンを除けばモースは事実上のダアトの最高責任者、やろうと思えば出来ないことはない。
(ちょっとつつけば埃のように悪事がいっぱい出てくんな、こいつ・・・やっぱ潰してぇな、ダアトもろとも)
足元を気にせず立場に酔っぱらってきた代償を払わせたいと思ったルークは、視線の先に陛下を捉えながらも内心でモースを潰す対象と認識した。
「よくマルクトから無事に戻ってくれた、心配しておったぞ」
「心遣い痛みいります」
「してそなたの横にいるのが・・・」
「ローレライ教団の導師イオンと、マルクトのピオニー皇帝陛下の名代の使者ジェイド・カーティス大佐でございます」
「ご無沙汰しております陛下。イオンにございます」
「導師イオン・・・お、お捜ししておりましたぞ・・・」
(嘘つくんじゃないってばよ、馬~鹿)
会話の最中のうろたえたモースを見て、違うだろと心でつっこみをいれるナルト。ナルトもこの謁見の間に忍び込んでいた。侵入したタイミングはルークが扉を開けた直後、そこで入り込んだナルトは天井に移動して張り付いてきながらその様子を見ていた。
(ここにイオンが来るのは計算外、そんな風にしか見えないってばよ)
そうナルトが思っていると、コウモリ娘が近くにいた陛下の臣に親書を渡す。そんな中、ルークが動き出そうとしている気配をナルトは目にしていた。
「陛下、大詠師モースの言葉には誤りがございます。私はこの目でマルクトを見てまいりました。首都へは行きませんでしたが、エンゲーブとセントビナーには戦争への準備の様相は確認出来ませんでした」
「な、何を言うか!・・・私はマルクトの脅威を陛下に・・・」
ピクッとナルトに苛立ちが募る。ルークが嫌いな物はナルトも嫌い、大体の好みが似通っている二人はこういうところでシンクロすることが多かった。
「ならば大詠師モース、お聞きしてよろしいでしょうか?」
モースの言葉を意図的に遮り、感情を読み取り辛い冷たげな言葉で告げるルーク。この丁寧語で語りかけなければいけない状態のルークは言葉が礼儀を心得ている分、普段の態度のルークより威圧感を感じる怒りになる。それをよく知ってるナルトはモースのうろたえぶりに期待する体勢に入った。
「あなたはいつどこで誰からその情報を聞かれたのですか?」
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