焔と渦巻く忍法帖 第十話

「ん、あれは・・・」
天空客車から降りてすぐルークが見たもの、それはケセドニアで会った桃色の髪の女の人が取り巻きらしき男二人と神託の盾兵と何やら話している場面だ。



「・・・なるほど。そいつはあたしらの得意分野だ」
「報酬ははずんでもらうでゲスよ」
「しかしこれは一大仕事になりますね、ノワール様」
意識をすまして耳に神経を集中させれば小声の会話を盗み聞くくらいルーク達からすれば簡単だ。もっとも話はほとんど終わりに近かったため、盗み聞く意味はあまりなかったが。
「なんだ?またスリでもしようってのか?」
だが様子から察すれば、バチカルには何か大事のために来たようなので、一応の目的察知の為にルークはノワールと呼ばれたリーダー格の女に話しかけた。
「あ、あんたは・・・」
「で、では頼むぞ。失礼します導師イオン」
ルークの顔を見てうろたえるノワールと同じく、神託の盾兵もイオンの顔を見て慌てて敬礼をしてその場から去っていった。
「なぁ、おまえら。神託の盾と何を話してたんだ?」
兵が去ったすぐ後、ノワール達に関係性を問うルーク。まぁ聞こえてきた得意分野と報酬と仕事という単語と、漆黒の翼という団体の特徴、神託の盾からの依頼とくれば大体の予想はルークの中でついている。
「あ、あんたには関係ないことさ。行くよ、お前達」
ルークの顔をうかがい戸惑いながらも、ノワールはさっさと話を打ち切って、視線をある人物へと向けた後その場から連れの男二人を引き連れてどこかに移動していった。
(あ~、やっぱりな~)
ノワールの視線の先にいたのはイオン。今までの傾向からみても神託の盾の目的はイオンを手元においておくこと。それでおおまか間違っていない、自分に関わらないならいいか、とルークは思っていた。






「じゃあここでお別れだってばよ」
そんなことを考えていると、突如ナルトが別れを切り出してきた。
「えっ、なんで~?」
そこにコウモリ娘が口を挟んでくる。
「俺は元々バチカルには親を探しに来たんだってばよ。だからここでお別れなんだってばよ」
「あ、そっか。そういやそんなことを言ってたな」
わざとらしくも自然に事情を繋げるルーク。
「今まで世話になったってばよ。じゃあまたいつか会おうってばよ」
それだけを言い残すと、そのままナルトは走ってバチカルの街中に消えていった・・・
(戻ってきた戻ってきた)
と思えば、今までのにぎやかなナルトの雰囲気を消して、気配を人混みに溶けこませてルーク達の後ろに陣取ってきた。もちろんそれに気付いて、いや気付けるのはルークだけだ。しかし、まだこれでもナルトは気配を絶っていない方だ。ナルトが本気で気配を絶てばルークも正直なところ、ナルトを見つける事が難しいのだ。まぁ今はそんなに完璧に気配を絶つ必要はないので、ルークにはすぐにわかるという程度の気配になっている。
「さーて、さっさと行こうぜ」
ナルトが表だっていない今、話相手がいない。そんなつまらない状況は早く終わらせようと、ルークは同行者を促して先へと進んでいった。




4/17ページ
スキ