あるべき形とは何かを見失う者達と見定める者達

「・・・というわけで今警察では事件が起きたら特命係にも連絡して、事件を解決しろとなっているんだよ新一君・・・」
「何だよそれ・・・」
・・・とある事件が起きたのだがそれをたまたま現場に居合わせた新一が警察が来るまでに解決し、現場に到着した目暮達に時間の余裕もあって最近自分を呼び出さないのは何故かについて新一は聞いていった。
だが目暮が何とも言い難そうに説明を終えた様子に、新一は不満そうな様子を浮かべた。
「・・・目暮警部、その特命係に連絡なんて無しにして前のように俺に連絡は出来ないんですか?その特命係って部署の作られた目的については今聞きましたけど、俺も探偵として事件解決の為に役に立ちたいんです」
「それは、その・・・そう出来るならそうしたいという気持ちはあるのだが、小野田官房長の肝いりで作られた部署ということから警視庁の中でも下手にそこからはみ出ないようにしようという雰囲気になっていて、とてもそうはなりそうにないんだ・・・」
「か、官房長って・・・内閣官房長官!?な、何でそんな人物がそんなことを・・・!?」
そして前のように自分だけを頼って欲しいといった声を新一は向けるのだが、目暮が気まずげに口にした官房長との言葉にたまらず目を丸くした・・・日本の政治において総理大臣に次ぐ地位に立つ人物という大物も大物な存在だということくらいは新一も知っているからこそ、そんな超がつくような大物が関わっているとは思わなかった為に。
「その辺りは詳しくは聞いてはいないが、それでも官房長が特命係を設立したこともそうだがその特命係が新一君を呼ばなければ解決しなかっただろう事件を次々に解決していっていることから、特命係の設立は間違っていないというように見られているんだが・・・だからこそそんな官房長の功績に泥を塗るだとか足を引っ張るような事をわざわざする者が現れるとは思えないんだ。流石に官房長が直々にそういったことを誰かがしていると聞き付けてどういうことなのかというように聞いてくることはないだろうが、代わりに警視庁内のどんなお偉方が動くのかということを危惧する形でだ」
「き、危惧って・・・」
「警視庁内で特命係の活動を公に褒めているだとか認めている人物が多いんだが、その中には刑事部長であったり監察官といった人物もいるんだ。特に監察官に関しては時折官房長と会って話をするような懇意の仲らしい上に、警察内でも厳しい人物という見られ方をしているらしい。そして警視庁内でも言葉にしていないだけで特命係の事を認めている上で高い地位にいる人は多いと聞いたことがある・・・だから特命係に関しては特に問題視されていないどころか新一君でなければ解決出来なかったであろう事件を解決しているのもあり、むしろその活動を邪魔したらどんな大目玉を上から食らうか分からないのもあって基本的に特命係の存在に何かを言う者はおらんのだよ」
「っ・・・」
そんな驚きに目暮は何故官房長が動いたかは分からないと言った上で、警視庁内で特命係をどうこう言うような存在はまずいないと根拠も含めて話し、新一は複雑そうな表情で歯を噛み締めるしかなかった。偉い人がバックに付いている可能性が高いといういかにもな権力の横暴に感じる部分もある上で、自分の活動の妨げをしているというように怒りを感じているものの・・・特命係のやってきたことやその功績までもを批難出来ないこともだが、まだ学生に過ぎない新一が警視庁のあれこれをどうにかすることは出来ないのも理解したために。









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