あるべき形とは何かを見失う者達と見定める者達

「という訳なんだが、改めて特命係の発足及び責任者への着任についてを受け入れてくれるかい?杉下」
「・・・分かりました、お受けしましょう。細かい条件だとかどのように動くかなどは色々と話をして詰めていかねばならないでしょうが、工藤君が今のままの活動をしていくのは緊急事態ならともかく平時の時は認められる事ではないでしょうし・・・何より工藤君の年齢から見て僕達が警察を去るとなった時にはまだ40程度の働き盛りといった年齢であるばかりか、その子どもまでもが工藤君を見習ったような活動をした上で何も対策を取っていなかったなら、工藤家の事件への介入及び警察の人間が彼ら一家を頼ることは公然の物となりその縁を断ち切るのは困難な事になると思われます。ですので僕がやれる範囲で警察の為にも動くことにします」
「すまないね、杉下」
それで再度どうかと確認を向ける小野田に杉下は新一の活動を自由にさせたくない考えと未来に起き得る可能性についてを話しつつそうすると返し、その答えに満足したように礼を返した。これで一安心というよう。


















・・・そうして少しの間の後に、警視庁内にて特命係の設立とその代表に杉下右京が就くことが発表された。といってもそれらは警視庁からこういった役割を持った課を作ると公に発表するといった物ではなく、あくまで警視庁内での発表という形でだ。そしてその特命係を作ったのも多発する事件・・・それもトリックだったりが用いられていて推理する必要がある物についてを解決もだが、それらを解くに辺ってどのようにするべきかを教える為の部署とされている。

この事に関して最初何でこんな部署というか係が設立されたのかというような事を警視庁内部でヒソヒソと話されていた・・・このヒソヒソというのは設立者が小野田官房長という雲の上の存在だったからであって、下手に声高に話して目を付けられたくないといった者達のせめてもの配慮だった。

だがそうして特命係が設立された上で起きた事件で今までなら目暮班が解決が難しいと判断した時に新一に連絡を取っていたが、それより先に特命係・・・というか杉下右京に連絡が行って現場に特命係の面々が顔を見せた上で、杉下がアッサリと事件解決をしていったことは瞬く間に警視庁内でも話題になった。今までは新一を呼ばなかったら解決しなかったと思われるトリックを前にして、杉下はそれらを然程苦労した様子もなく解決したといった中身に。

そんな話に警視庁内では杉下の能力の高さに驚きの声が上がったのだが、一度ではまだ完全には信じられないといった声が上がりはした・・・だがそんな声に関しては何度か杉下が現場入りして然程時間をかけずに事件をことごとく解決したことで、次第に立ち消えになっていった。杉下の能力は本物だというよう。

その上で杉下が率いてきた特命係の面々に事件の中でもだが、警視庁で公開で過去も含めた事件に用いられたトリックに関しての説明や解き方などの講義の時間が定期的に設けられる事があり、そこに暇や時間が合うだとか講義に出席するのは仕事と見なすという事から徐々にという形で警視庁の人間達は杉下の特命係の講義に参加していった。中には講義の時間をサボりといったように考える者もいないではなかったが、大半の者達は推理が必要な事件ばかりが多発する状況に危機感を持つであったり、自分達で事件の解決をしなければというように思ってだ。

ただそんな中で特命係のそんな動きと新一の関係があることから、板挟みになっている者達がいた。それがよく事件が起きたら真っ先に新一の助けを求めていた目暮達である。









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