領域を踏み荒らす者に渡す報い

「蘭の毛利さんに対する印象からして、決してあの子どもに対していい印象を抱けるような事など言ってはいなかっただろう。タバコや酒ばかりを飲み、綺麗な女の人を見ればすぐに鼻の下を伸ばし、俺にカミーユに世話をされておんぶにだっこのだらしない人・・・自分の所に来ないのならこれくらい言えば心変わりくらいするだろうという気持ちも含めてな」
「・・・蘭なら確かに言うだろうな」
「あぁ。だがそこまで言われれば普通のあれくらいの年齢の子なら、少なくともあぁも迷いなく毛利さんの所がいいだなどと言えるとはとても思えん。それに着替えがないというのも引っ掛かっていた・・・もし仮にあの子が新一でないにしても、普通は親に荷物を渡されていたなら何らかの発言をしていても良かっただろう。阿笠さんに持ってきてもらうだとか、忘れてきたから取りに行くなりなんなりするとかな。だがあの子どもに蘭はそういった事を言い出さなかった・・・となれば考えられる可能性としては阿笠さんの所に預けられたというのは嘘であり、あぁやって毛利さんの元に来る流れになったのはあくまで突発的であり計算して行おうとした物ではないが、カミーユの感じた事から察するに毛利さんの元には是非居たいと思っていることは嘘ではない・・・ということだ」
「・・・偶然に偶然が重なった上で、あぁいった行動を取ったって事か・・・」
そこからいかにあの子どもが怪しいと思ったのか・・・その際の根拠を語っていくルルーシュだが、偶然の要素が強いであろうと語る様子にカミーユは何とも言いがたそうな表情を浮かべる。
「だがそういった偶然が多いというならこちらにも付け入る隙はある・・・明日にはまた蘭はあの子どもを毛利さんの元に連れてくるだろうが、早くとも午後以降だろう。それまでに勝負をかけるから、手伝ってくれカミーユ」
「あぁ、分かった」
しかしルルーシュが勝負をかけると意志を固めて口にしたことに、カミーユは疑うことなく頷いた・・・ルルーシュがカミーユの前世を知っているよう、カミーユもまたルルーシュの前世にその能力を知っている。だからこそカミーユは確信していた・・・稀代の策略家でもあり世界を一度掌握したその知謀を駆使すれば、コナンか新一か・・・あの子どもをどうにかすることは出来ると。









「・・・くそっ・・・着替えで戻ってくる羽目になるだなんて・・・」
「少し急ぎすぎたというか、蘭君に見付かって流れに乗りすぎたかのぅ・・・と言うか大丈夫なのか、新一?毛利君は乗り気ではなかったと先程聞いたが・・・」
「乗り気じゃないにしてもおっちゃんの所に行かないといけねーんだよ・・・そうでなきゃあんだけ蘭にごねた意味もそうだし、あいつらに近付くことも出来ねーんだ・・・!」
「そうか・・・(どうも良くない予感がするのう・・・あの二人の事を考えると・・・)」
・・・一方阿笠博士の家ではコナンとしての顔をかなぐり捨て新一としての本音で強い言葉を口にしていく新一だが、阿笠は内心で不安を感じていた。ルルーシュとカミーユ・・・この二人がいることが、どう新一に影響するのか分からないと感じて。









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