子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

ただ昔の蘭ならいい加減に探偵や推理関係の事ばかり話さないでよといったよう、我慢出来ないと文句なりを遠慮無しに言っていただろうが・・・それが効果がないのはもう楓が産まれてから小学生に上がるまでで十二分に理解しているから、喧嘩をしても平行線どころか新一が悪いと本気で思うことすらなく蘭に分かってくれと言うだけになるだろうことも容易に想像がついた。

だから新一と喧嘩しても骨折り損のくたびれ儲けにしかならないどころではなく、ほとぼりは冷めただろうと工藤邸か新しい家からまた蘭の元に平気な顔で転がり込みに来て、また喧嘩といったような事をどちらかが活動出来なくなるまで繰り返す事もまた想像が出来た。そしてそこまで行くより先に新一ともう関わりたくないと思い続ける形で、いずれ自分がおかしくなる可能性の方が極めて高いだろうと。

・・・だから蘭はそんな未来は嫌だと新一と付かず離れずの距離感を保った上で絶対に自分のマンションに自由に出入り出来ないようにすると決めたのである。新一に今までの事を全て話してもどうせ仕事が第一に来るだろうから、もう下手に喧嘩すらすることも何か長く話し合うことも表向きにはしないようにしようと・・・


















・・・そうして蘭は数日経って新一と優作と共に貴重とされる本を軒並み片付けた後でマンションに移り住むのだが、半年が経ったくらいで新一から連絡が来て一緒に住めないかという話が来たが、そこは一蹴する形で拒否した。時間的に見ても工藤邸を売るのは絶対にしないと分かる物だったこともあるから、そこを取っ掛かりにして新たに事務所を借りる時にそこに近いところを自分で借りてそこで寝泊まりするようにすればいいだろうと、自分の元で暮らすことは徹底的に拒否する形でだ。

そんな事を言われて新一は上手いことを言えずに電話を終わらせることになり、時間が進んでからいざビルの解体となる前に新一にどうするかと連絡を入れたが・・・やはり工藤邸を自分の判断で壊したくないという結論を出したため、もう予想していたからいいと言って終わらせた。ただその前には予想するまでもなかったが、これを機に探偵を引退するのではなく事務所を新しく借りる事にしたから何かあればそっちに来てほしいと言われる形でだ。

しかし蘭はもう新一の借りた事務所に行くつもりなんか更々なかったし、自分から新一に連絡をしたことなど優作達や英理の訃報と葬式に関しての連絡くらいしか無かった。もう新一の分と自分の分で必要な手続きに関してはちゃんと分けるようにしたし、そういった事を不満に思った新一から連絡されてきたりしたがもう同じ家で暮らさないようにしたんだから、自分でやることをやるのは当然だというよう。

そうして新一を黙らせて優作達の葬式に参列する形だとかで訪れた楓達をもてなす中で蘭は過ごしていくのだが、80を越える前に蘭はもう施設暮らしに移行することにした。これは事あるごとに一緒に暮らそうと昔より多く切り出してくる新一に辟易とし、まだ健康ではあるがもう施設に行けば否応なしに新一もそうしようなどと言いにくくなるし・・・何より直接顔を見せに来るだとかまた自分と暮らそうと言い出すようなことはまず新一の性格上ないと見てだ。仕事を優先させると見たのもあるが、施設という人生の終わりの場からわざわざ引き上げだとか顔を見せには来ないだろうと。

だから施設に入ってからは予想通り新一は来なくなるし連絡も来なくなるのだが・・・終わりの時間は数年後にあっさりと来ることになった。とある時に新一が病院に緊急入院となったことで、もう探偵もだが普通の生活も出来なくなったということでだ。これは栄養を考えない食事だったり運動もほとんどしないのに探偵としての業務の量を昔と比べても減らさないままに活動してきたが、もうそれらの無理が体を蝕んでいて長い間生きられるような体ではないと倒れる形で病院に運ばれたことから判明したからだ。

ただ蘭は一応新一の見舞いはしたが、もう内心は自業自得だと思って冷めていた。探偵稼業を自由にやれてきたんだからこれで死ぬなら本望だろうと・・・そして数ヶ月後に新一の葬式を開く事になるが、蘭や帰ってきた楓や園子達の心の中には悲しみなど一切無かった。事情を知らないマスコミやらかつての依頼者などは色々探偵としての新一に世話になったからというように葬式に来てくれたが、プライベートの新一に関して知る蘭達からすれば夫としても、親としても、友人としても・・・最早呆れる以外に無くて親愛なる気持ちや悲しみなど持てないし、何なら好き勝手やってきただけの男をこうして見送ってやってるだけありがたいと思えというように考えながら・・・









END









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