子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

・・・もし今新一と共に暮らすなら仕事も何もすることがない時限定くらいになるだろうが、新一は頻繁にデートに誘うだとか話し掛けてくるだろう・・・しかしそれはいい大人というか老人に似つかわしいような内容と言うにはほど遠いと言うか、言ってしまえば高校時代の頃のように自分の探偵としてやってきたことの功績だったりを語るだったり、推理小説がこう面白かったんだという物しかないだろうことは容易に蘭には想像がついた。

というよりむしろ高校の時より話のレパートリーだったり交友関係が圧倒的に少なくなっていることから、出てくる人物や事件の中身が入れ替わり立ち替わりするだけで話の中身は然程変わらないだろうとしか蘭は思えなかった・・・前述の通り今の新一は友達や知り合いといった面々は軒並み距離を取っていることから、誰か他の登場人物が現れるとは思えない。話を聞く側は常に自分一人くらいしかいないという確信を得られる形でだ。

なら改めて服部達だとか園子などと交流を再開するなんてことは選べる筈がないと、蘭はその選択については有り得ないと考えていた・・・蘭は個人としては服部とはそこまで頻繁ではないにしても和葉とは大阪に行ったり東都に来られたりと交流を続けてきたし、園子も新一に呆れてこそいるが今でも蘭と交流している。

それに他にも中高からの友達とも会ったりしていて、同窓会などでも顔を見せない新一の活動の仕方についてを主に園子が暴露していったことから、新一に関してそういった昔馴染みの面々も蘭に対して同情的になると共に新一との距離を空けるとなったのである。元々から新一とは学校以降連絡されることも会うことも無かったが、もうそこまで来てるなら連絡先すら残さなくていいし会って話をしても依頼がに仕事がといったこと一色でしか無さそうな新一相手に、もう昔の下らなくも楽しかった頃のように他愛もない事を話すようなこともないだろうからと。

だから新一は一人でいることが普通になったのだが、そこに寂しさを感じなかったのはほとんど絶え間なく現れる依頼者であったり、後に事件となった時の容疑者や犯人達という誰かと共にいる時間ばかりであって、むしろ依頼や事件があった時は一人でいたがるようにすらなっていた・・・この辺りは依頼や事件を解決した余韻に浸りたがってというのもあるが、あまりに時間が無さすぎても推理小説を集中して読めないだとか推理物のドラマが見れないといったような考えもあったからだ。だから新一としてはむしろ仕事がない時間で一人になるのは歓迎する物だったし、孤独感を感じることもなかったのだ。

だがそれ以上の最も足る理由が何なのかと言えば、やはりというか蘭が妻という形でいることに尽きる・・・そう蘭自身思えてならなかった。結婚という形で繋がりになったことで決して一人ではないという状態になったし、蘭が色々な考えが重なった上で離婚を切り出さなかった事から、何だかんだで新一からしたらまだ離婚を切り出されないくらいには蘭に嫌われてはいない・・・そういったように思っているから二人でまた暮らす事を夢見てるというか現実に出来ると思っているのだろうが、最早蘭は変わらない新一が話す話の中身を受けてそれに合わせるなんて絶対にゴメンだと思ったのである。









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