子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

・・・離婚についてを優作達も小五郎達も、そして服部達や園子やらの友達からもハッキリと勧められたのにも関わらず蘭がそうしなかった理由。それはいくつかあるが最も大きくて核心となるのは例え離婚したとしても新一は諦めないのが目に見えていて、しつこく自分を振り向かせにくるのが容易に想像出来たからであった。

離婚自体はしようと思えば優作達もそうだが、英理がサイドに付いていることもあって例え離婚に不服を申し立てて裁判にもつれ込んだ所で、新一に勝ち目などないのは明白な事でそう出来たことは確実だった。育児や家事に関してほぼやらないに等しい行動しか取らずにいるのは離婚事由としては妥当であることもだが、新一の親であり蘭と同居している優作達の証言があればこれ以上ない程の証言役になるから、仕事が仕事がとしか言わない新一では勝ち目がないのは火を見るより明らかであっただろう。

だがそうして離婚した後にどうなるのか・・・裁判を起こしても勝ちしか見えない勝負だと言われて蘭も一時期はそうすることについてを考えたのだが、そこについてを考えると新一が復縁に躍起になって蘭のことを諦めないという光景が簡単に目に浮かんだのである。蘭の事を好きだし仕事は必要なことなのになんで分かってくれないのかというように。

無論、離婚をするにあたり接触禁止命令といった物を出せる事に関しても蘭は英理から聞いてはいた。だが他に離婚しないと決めた理由の中の二つとして優作達との関わりを薄くしたくないと思ったこともだが、米花町から離れるといった選択が出来なかった事が離婚をしない事への歯止めになったのだ。

蘭としては優作達の事は好きであるし楓とも向き合ってくれるいい義両親だから、新一と離婚することで一緒にいられる時間や楓と会える時間が減ることにはさせたくないという気持ちがあった。その上で新一は米花町に住んでいる上に仕事の拠点も米花町という都合上、ずっと米花町に住み続ければどこかでバッタリ出会っても偶然出会っただけだと主張することは難しくない・・・となれば流石に新一に仕事の拠点を変えろとまで命令を下すのは難しいから会いたくないなら蘭が米花町から離れるのが一番手っ取り早いが、楓がいる状態で住み慣れた米花町を離れるのは自分も楓も多大なストレスになるだろうし、楓がいなくなった後でどうするかと考えてもみたが米花町から離れれば離れる程に頼れる人物がいなくなるのもだが、専業主婦しか経験してない自分がどういった風に生きていくのか・・・そういった現実的な面を考えていったことから断念した方がいいとなったのである。

だから蘭としては離婚をしようといった積極的な気持ちは無くなったのだが、それでも蘭からすれば新一が関わってくる時間から目を反らしさえすれば優作達や楓との時間は掛け替えのない物であった。もし離婚に踏み切っていたならこんな風に満ち足りたようになっていなかっただろうと確信が出来るくらいにはだ。

だが時間が進んで楓のアメリカへの渡米や小五郎からビルの解体を切り出されたことだったりと一喜一憂する出来事に触れてきた事で、時間の流れの経過をいやが上にでも自覚すると共に自分も小五郎や優作達同様様々な事を選択しなければならない時が来る・・・そう考えたのだが、もう小五郎達の前で話したように蘭からすれば新一とまた仲良く過ごす未来なんてものは存在しなかった。いや、むしろ小五郎達には言いはしていないが一緒にいる時間が長くなればなる程に自分がおかしくなるだろうとすら感じていた。その時でもそうだが最早還暦すら越えた老人となった今ですら、昔からその本質は一切成長の見えない新一と暮らすなどと。









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