領域を踏み荒らす者に渡す報い

「どうした、カミーユ。あの子どもの事を見てから何か変だったが・・・」
「・・・あの子ども、少なくともただの子どもじゃない。と言うか、俺も信じられないんだが・・・あの子ども、新一にしか思えないんだ」
「新一に?・・・そう感じるのは、前世から持ってるニュータイプとしての勘からなのか?」
それですぐさまに先程の事についてを聞くルルーシュは、カミーユの問いの答えにニュータイプという単語を口にする・・・カミーユの前世において宇宙の環境に適応もしくは進化した人類を指し示す言葉であり、普通の人より並外れた感受性を持つことが特徴の一つという人類のことを。
「あぁ、そうなる・・・最初あの子どもの姿を見た瞬間から違和感を感じていた。あれくらいの年の子どもにしては有り得ないくらいに強い決意のようなものが感じられた上に、その感じが新一のものそのままの物だったんだ」
「じゃあ途中で体を震わせていたのはどうしたんだ?」
「・・・たまに見たりやったりするだろう?小さな子どもが大人の真似をするような口調で喋ったり、一回り以上年上の人物が子どものような言葉を使って年下と接する時が・・・そういった事自体は別によくあることだし、別に本気でその口調を続けようとすることなんてないだろ。けれどあの時のあの子どもは本気で子どものフリをしてたんだ・・・大人が大人を騙すように、それも新一にしか感じられない感覚を持ってだ」
「・・・そのギャップだったり、新一が行動しての事だと思うと不自然であり気持ち悪さを感じずにはいられなかったと言うことか・・・」
・・・ルルーシュ自身、初めにニュータイプの概念について聞いた時は疑念しか浮かばなかった。だが少なからず行動を共にしていく内にその感覚が正しい物であると認知し、信頼に値する物だと今は思っている。その能力に関してを色々と実体験してきた為に。
カミーユから語られる自分がそう思った時の経緯についてを聞き、ルルーシュは納得したように声を上げる。
「ならばあの子どもが毛利さんの元に来たいと言ったのは女性ばかりの所が嫌というのではなく、毛利さんの何かを狙ってということになるが・・・」
「それは間違いないと思う・・・ルルーシュや蘭の会話の中であの子どもは自分の思い通りにならないことの苛立ちを隠して浮かべていた。とても利発ではあっても、子どもには似つかわしくないような強い気持ちでだ」
「・・・となれば狙いはともあれ毛利さんの元に来させるのは止めなければならんな。新一がどうしてあんな子どもになったのか・・・そこに毛利さんの元に来たいと言い出した理由があるが、その理由がろくでもないものだとくらいは想像はつく」
そして確認するような問い掛けを向けるとカミーユはあの子どもの抱いていた感情についてを口にして行き、ルルーシュは真剣な表情になり考えを深めていく・・・今生では見せることの少ない表情だが、前世のある時期から影でよく浮かべていた表情で。
「・・・ちなみにルルーシュはあの子どもが怪しいとは思っていたか?」
「あぁ。カミーユの反応もそうだが、蘭の言葉から普通の子どもでないとくらいはな」
その表情にカミーユは子どもについてを聞くと、蘭の事もあってと頷く。









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