子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

そんな蘭に小五郎もその話のようにするのが効果はあるだろうとは考えたと言いはしたが、その反面として時間が経過して自分がまともに動けないか亡くなってしまったらビルの解体が出来なくなりかねない・・・そういったことから蘭が賛成してくれるならという前提の元でビルの所有権を渡すと共に、ビルの解体を引き受けてほしいと小五郎は頼んだのである。

ただそれは話の最後辺りで持ち掛けられた物であり、続いた話の中で優作達はそれだけでは新一のことで蘭が悩みかねないからということで考えたことが、あのビルと同じように工藤邸を解体する事を提案こそはするがその実の狙いとして、新一が工藤邸を頑なに守るか出ていくかはともかくとしても蘭が新一と共に暮らさなくていいような状況を作り出す・・・というものだった。

これに関して実際に工藤邸も建築法として見るなら数年経てばもう解体した方がいいレベルにある事から、そこを取っ掛かりにすれば蘭の元に新一が帰ってくるみたいな構図をどうにか出来る可能性は有り得ると見たということだった。ただ前提として言うならば蘭がある程度新一にぼやかした形でという前置きはするが、キッパリと新一とは同居しないと言い切れるならとのことでと。

そして実際の所として家の解体に関しては新一が承諾するか絶対に嫌だと拒絶するかに関しては二の次であって、要はそこをきっかけに何とでも理由付けをする形で蘭が新一と離れるようにすることが真の目的・・・つまり家に関してはもう新一が感傷の為に自身の号令での解体を拒んでも、その本当の目的を晒さないダミーの狙いなのだと。

そんな考えに蘭は家の事は色々な意味でいいのかと小五郎に問い掛けるのだが、新一が工藤邸を守ると選んでも楓がアメリカを活動の拠点としている以上はもう工藤邸はいずれ解体しなければ無用の長物になるのは目に見えているから、是が非でも新一が亡くなって以降でも今の工藤邸を壊させず守るつもりは自分達にはないから構わない・・・というのが答えだと返された。もう蘭の為ならあそこはどう使ってもいいし、工藤邸を新一が守ると選んでも新一の金銭感覚を考えればそう自分の遺産は食い潰されないだろうから、土地を売った分の金は無くても新一から楓への遺産は総量的に見てそこまで減るものではないから問題はないだろうと。

ただそこまで考えはしたが今までの考えを実行するのは蘭であって、強い意志を持てないということから蘭がそうしたくないというなら俺も含めて無理強いはしない・・・そう小五郎が言ったのだが、蘭は然程迷うこと無くそうすると返した。優作達に申し訳無いと思う部分はあるけれど、もう私としても今更というかまた将来的に新一と同じ場所で暮らしたいとも付き合いたいと思う気持ちもないというのもだが・・・一人にさせるという言葉にそれが一番新一に対して取る処置としてピッタリだ感じたのもあるからと。

・・・新一からすれば蘭の甲斐甲斐しい献身が無いことから自分一人で探偵として頑張っていると思っていることだろうが、その実態は前述のよう自分のやりたくないことは仕事があるからと全てやってもらうことが当然だとか、炊事や掃除といったこともろくにせずに家族どころか時折サービス業などを利用して他人すら頼る形で活動している・・・ならもうそういったサービス業に関しては遠慮無く頼ればいいし一人でやってないとは言わないから、もう完全に一人にしてやることが本当に一人になることの意味を理解出来る時になると共に、その時に自分も含めて前のようになんてしてやらないことが自分達家族を都合のいい存在だと見てきたことに対する報いに出来るだろうからと。









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