子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

・・・そしてそう考えるに至ったそもそもの最初のきっかけが何なのかと言うと、小五郎がビルの解体についてを考えていたことからであったと小五郎達から聞いた。最初は自分としてはもうあのビルを50年経ったら解体したいと思っているのだけれど、新一はまず確実にそんなの嫌だとごねるだろうからどうにか説得だとか新たな事務所として使える場所の紹介を出来ないかというよう。

ただ優作達もその話を受けて説得だったり場所の提示をしても新一が素直に頷く筈がないというのはすぐに想像がついたということだった。やはり新一の性格や考え方からしたら素直に動く筈が無いというか、あの思い出や思い入れのあるビルを壊すなんてという風になって頑として動かないのは目に見えていると。だがそれでならもう諦めるとならなかったのが優作であった・・・これは小五郎の考えを真剣に受け止めたのも勿論あるのだが、もう優作もだが有希子も小五郎と同じように色々と考えざるを得ない年齢になっていたのだ。そしてその中で最も大きなウェイトを占めていたのは新一の扱いをこれからどうするのかということだった。

実際この時の前くらいは優作達としても新一をどうするかを悩んでいたとのことだった。このまま行けばどうせ新一は今のままで死ぬまで活動するだろうことから、それを認めるかもそうだが自分達が亡くなってしまったらもうそれに付き合うというか、何かあればフォローなり何なりとしなければならないのは蘭以外にいない・・・そうなれば面倒だとか辛いことを一身に引き受けなければならなくなるから、もうそろそろ蘭に自分達の財産を新一に渡す分から大分差し引く形で慰謝料として渡して早めに離婚してもらった方がいいかもしれないと考えていたこともあったと。

それらの言葉を聞いて驚いた蘭だが、一応は新一に対する打開策が思い付いたのもあるからこちらからは何も言わないけど、もしもう蘭が心底から新一と同じ籍に身を起きたくないとすら思ったなら、いつでもそう言ってくれればそうする覚悟はあると言っていたと小五郎は告げた。もう今の時点で新一に対して愛情も何もないとなっていても当然なのだから、そうなっているなら蘭ちゃんの気持ちを率直に伝えるのが一番新一にとって効くのもあるだろうからと。

しかし蘭は一応は離婚する意志はないと言った上で本当の意味で一人にすることについてを聞きたいと言った為、小五郎もどういうことからそうなったのかを簡略に説明した・・・まず解体の件に関しては優作はどうするかと考えていったが、50年という節目での解体は絶対に新一は受け入れないだろう。ならどうするかと考えた結果として毛利さん自身は少し嫌な気持ちになるかもしれないけれど、それ以降は待つ形を取って私達か毛利さんに妃さんの誰かの死をきっかけとするか、誰も亡くなっていないなら蘭ちゃんが70になる時にそうするようにすると新一に伝えれば前者はその死を以てで、後者はもう新一や蘭ちゃんも年齢的に無理が出てくる頃だからとビルを解体する流れに持っていける可能性は高いと見ている・・・というのが優作の見立てであり、情を滲ませるように解体する事を言えば新一も一概には否定出来ないだろうと。

そう聞いた蘭も自分の年齢のことは少し理由としては弱いが、誰かが死んだからこそというのは確かに気持ちは良くはないけれどそれは新一も同じような物になるだろうし、効果も認められそうだと感じた。理屈で納得させるより感情で揺さぶった方が新一には効くだろうことは。








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