子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

「・・・そういうわけだからどういう選択をするかはまだ分からないけれど、もう貴方一人で生きていって。ただこの家を自分が死んでも壊さないといった結論を出したとしても、もうそこに関しては貴方が楓に残す遺産としてはカウントしないようにという処置にするし、貴方が亡くなったらここを解体出来るようにする処置を取れるようにすることは承知してもらうからね」
「・・・分かった・・・」
そんな衝撃を与えた蘭は間を置かず最後にといった注意事項を口にしていくのだが、もう新一はただ消え入りそうな声で一言返すだけしか出来なかった。ハッキリと蘭から嫌いとは言われてこそいないが、もうほぼそう言われたも同然のような答えを受けて引きずったままに・・・






・・・それで話は終わりとなって、少しした後に新一は力なく工藤邸を出ていった。最早あそこまで言われてしまえば今日はこちらで寝るなんて事も言える筈もないと、事務所の上の居住区に戻る形でだ。
「・・・これで終わったわね。もうあそこまで言えばいくら新一でももう諦めざるを得ないでしょ」
蘭はそんな新一が玄関から出ていったのを見送った後、独り言を呟く中で面倒だったというように目を閉じて顔をしかめる。
「予想はしていたけれど、あの様子じゃこの家の解体は自分でやるなんて決断は下さないでしょうね・・・ただもうそれでも新一はこれからは一人で、それも今までのように時々この家に帰ってきたようなことは出来なくなる・・・それが今まで一人でいるようでいて、私達がいるということに甘えてきたツケになるようにと考えてきたお父さんや優作さん達の考えからだなんて知らずね」
ただそんな中で蘭は一人確信めいた言葉を口にしていく。小五郎達の考えから本当に一人にさせられたことに気付くことは無いだろうと。






・・・小五郎が60になった時に四人が考えたことについてを聞かされた蘭だが、その中身は何だったのか。それは何なのかと言えばもう新一を本当の意味で一人にさせるべきだと考えたという物だった。

この本当の意味でという言葉に蘭は最初はどういうことかと尋ねた。それで順序立てて説明されていくのだが、まず最初に言われたことはもう将来的に自分達もそうだが蘭にも新一を助けないようにさせたいという考えが浮かんだからとの物だった。特に蘭の負担を考えてと。

これはまず順当に行けば蘭や新一より自分達は先に死ぬのは当然だが、それで残った蘭がどうなるかに関してはこのまま行くなら十中八九とかそんなもしもが有り得るような物じゃなく、まず確実に新一は何も対策をしなかったら蘭に自分達の後始末もそうだが公的な手続きだったりを始めとした事についてを任せ、また自分は仕事に勤しむといったような行動を取るだろうし、何なら新一自身や蘭が死に際するくらいの状態になってようやく自分がやらないといけないと慌て出すならまだいい方であって・・・最悪自分達の後始末は楓がやってくれと、全部丸投げしてくる可能性すら有り得ると優作達は考えたとのことだった。

そんな優作達の言葉に今までの事があったことから否定出来ないどころか、むしろ納得しか蘭は出来なかった。何せ新一はそれまでの間でも自分がやらなくてもいい手続きに関しては蘭がやってくれと工藤邸にほとんど帰らない事もあって絶対という頻度で言ってきたし、なら本人しかやれない手続きだったりに関しては車の免許更新といった直に本人がその場に行かなければならない物はまだしも、本人直筆のサインが必要な物にサインしてほしいといったサッと済む用事の時には、仕事があるから終わる時間はこれくらいになるから来てくれればサインするから・・・というよう時間を合わせる事も自分が帰ろうとすることもなく、ただこっちに合わせてくれればやることはやるからと蘭達の都合に合わせることなど一切無かったのである。

ただこれらに関してはもう新一が事務所と上の居住区を公然の第二の家にすることを認めたことからある程度は仕方無いと優作達も思ってきたが、それでもこれを自分達がいなくなった後の蘭に死ぬまで付き合わせていいのか・・・と考えた結果がそれは良くないとなったのであると共に、対策を取ろうとなって考えたのが新一を完全に一人にさせてやろうということだというのが優作の考えだと蘭は聞かされたのである。









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