子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

「ならいいって言いたいけれどこれは最後に言わせて・・・さっき貴方がこの家を守りたいって結論を出しても私はこの家を出るって言ったけど、仮に貴方がこの家を出て新しい住みかに私と一緒に暮らせるようにしたい・・・というのは拒否させてもらうわ。だからもう私が貴方と一緒の場所に住むのはこの家から出るまでよ」
「はっ!?どうしてそんなことを言うんだよ!?」
それでこれで終わり・・・とする前に蘭がどちらを選んでも一人で暮らせというよう言い切った事に、新一は意味が分からないとたまらずに驚きと共に返すが蘭の目は冷ややかな物であった。
「・・・じゃあ聞くけれど、そこからまた私と一緒に暮らすとして貴方はこれまでのような活動の仕方を変えるつもりはあるのかしら?仮に二年後も貴方が探偵を辞めなかったとして、今までのような形を取るなら私が貴方といる意味はある?今でさえ貴方がしたいようにさせているんだから、私がいない方がむしろ貴方にとって探偵の仕事をやったりそれ以外の生活でも楽なのは、もうどう取り繕いたくても貴方も否定出来ないんじゃないの?」
「っ・・・!」
蘭はそんな様子のまま淡々と一緒に暮らすべきだったり暮らしたい理由があるのかと生活や仕事の事についてを引き合いに出して聞くのだが、新一は息を詰まらせ否定の言葉が出てこないままにたまらず視線を反らしてしまった。
「・・・もう何か言わなくても分かるわ。その態度からもう今更私と暮らすということなんて、貴方自身もうそれが出来ないって思ったんだってことは」
「ち、違う・・・お、俺は一緒に蘭と暮らせるなら暮らしたいんだ・・・でもそれは、俺を探偵として送り出したり迎えて欲しくて・・・」
「その言い方だとそれ以外じゃ私は別にいらないみたいに言っているようにしか聞こえないわよ、新一」
「っ!?」
蘭はその様子に冷ややかどころか凍てつくような視線を向けながらその反応についてを突くと新一はどもりながら答えるのだが、その中身を拾い上げられたこともだがその言い方に顔面蒼白といったように新一はなるしかなかった・・・失言というにはあまりにも蘭から聞けば気分が良くなさすぎる中身である上に、新一からすれば本当にそんなつもりではなく純粋に言葉が足りなかったといった中身だった事を理解してだ。
「・・・一応言っておくけれど貴方が悪意からそんなことを言った訳じゃないのも分かってるし、貴方の今までの前例からそういった時に関して言葉が足りないからこその言葉だったということは分かるわ。でもね、新一・・・言葉が足りないってことは言いたいこと全部は言えてはいないにしても、言おうと思ってた事のある程度を占めていた部分であることには違いはないのよ。だから私と一緒に暮らしたいのは嘘ではないにしても仕事が始まるまでの時間や終わってから寝るまでの時間だったり、本当に仕事のない日も含めて今まで一人だったからこそ出来てた事・・・例えば新しく出た推理小説を読み終えるだとかそういったやりたいことをやるための時間をキープして、それ以外の時間だけ私と過ごせればいいくらいに思ってるんだろうとしか私は感じなかったわ。そしてオマケに言うなら私がいてもいなくても仕事のやり方については何ら変わらないままでいるなら、もう私がいる理由なんか家事をやるか貴方の自己満足くらいしかないじゃない。そんなものにこれから死ぬまで付き合いたいだなんて私は思わないわ」
「っ!・・・そ、そんな・・・」
しかしそんな新一の言葉足らずな事は知っているとは言いつつも、そんな言葉足らずを踏まえた上でハッキリとした否定を蘭は言葉にし・・・新一はあまりの衝撃に愕然として頭を下げるしかなかった。今までというか結婚するまでは何度も別れるかどうかみたいないざこざはあったが、そんないざこざとは次元が違うレベルで蘭とはもう仲を引き戻せないといやが上にでも自覚させる物だった事を新一は感じた為に。









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