「ならいいって言いたいけれどあくまで今は本が無かったらさもこの家は売れるのが普通みたいに思ってるかもしれないけれど、もうこの家もあのビル同様５０年以上は今の時点で経ってるし貴方が住めるだけ住んだらその年数分も加算されるから、とても買い手なんか見込めないだろうしこの家のまま使ってくれる人じゃなければ売りませんみたいな売り文句を押し出したら、尚更二の足を踏むだろう人が出るだろうから解体して更地にして土地を売る方が断然にいい・・・それが優作さんからの言葉だし、有希子さんも同意したことよ」
「っ・・・おっちゃんもそうだけど、蘭も父さんも母さんもどうしてそんなあっさりとここを壊せるなんて言えんだよ・・・あのビルもここも大事な場所だろ・・・！」
そんな様子に改めてこの家の解体についてを考える理由はありと優作達も口にしていたというように蘭は言うのだが、ここに来て新一は今までで圧倒されてきたのに立ち向かうよう何故だとばかりに、そんな決断を下せる方がおかしいとばかりに苦悶するような声と顔を向ける。そんなこと自分はしたくないという気持ちを押し出す形で。
「・・・じゃあ逆に聞くけれど貴方、自分が亡くなった後の事についてを真剣に考えたことなんて一度でもあったの？というか考えようと思ったことすらなかったんじゃないの？」
「そ、その方が普通だろ・・・一応６０は越えたけれど、まだ普通に動けてるんだし・・・」
「貴方はそうかもしれないけれど、それは貴方が一人でいて何も考えてこなかったどころか誰にもそんな話をすることもだけど、されてもこなかったからよ。その点で私達というよりお父さんや優作さん達はもう６０になるくらいにはもうそういった話を度々していたのよ」
「はっ・・・そ、そんなこと俺は聞いてないぞ！？」
「それは単純に貴方がこの家に帰らないし私達と話す時間なんて取らなかった事もそうだけれど・・・さっきも言ったでしょう？わざわざ仕事をする貴方の邪魔をしないために何も言わずにいたんだってことは」
「ぅっ・・・！！」
ならと逆に問い返す形で話をしていく蘭に何とか新一は返していくのだが、批難気味に漏らした声にすぐにわざとらしい皮肉を笑顔と共に口にした返しをされて言葉を詰まらせるしかなかった・・・先程の話の中身を持ち出された上で蘭の怒りを再発させたいなどとは新一も流石に思わない上で、事実として顔を合わせる事も話をすることも何十年という単位でろくにしてこなかったのは確かだった為に。
「・・・というか少し話はズレるかもしれないけど、探偵になってから貴方は誰か友達が出来たかもそうだけど服部君だったりとそういった話をしなかったの？」
「そっ、それは・・・っ！」
だがそこで蘭がふと思い付いたというように友人関係についてを問い掛けるが、新一はそこで驚愕ではなく動揺を大いに現して声を詰まらせた。明らかにそんなこと一切なかったとすぐに理解出来る様子で。






・・・蘭は話の流れに関係無く聞いたが、新一の友人関係については探偵となった後でほぼ交流が無くなったようなものになったのもだが、探偵となってから誰かと友人関係になったなんてことはそれこそ皆無だった。これに関しては単純に新一が仕事を優先するがあまりの当然の結果だった。

まぁ友人関係に関してはほぼほぼ蘭や優作達と同じような事を考えていたくらいであった。会う時間や話す時間は無くても関係は変わらないんだからというように思い、久し振りに旧交を暖めようなんて風に連絡を取るなんて事はほぼほぼしなかった。ただそれでほぼほぼというよう一応依頼があって大阪に来てほしいだといったような事があった時は服部に連絡を取って会っていた事もあったのだが、それも蘭達に関しての態度やらを聞いた上で和葉が蘭に電話で事実を確認して、もう会わない方がいいとなった事で服部も仕事が忙しいというように誤魔化すようにと話し合った結果もあるのだが・・・やはり新一がそういった交流を取るより依頼を果たせればそれでいいと、関係は変わらないんだからと楽天的に思ったことが何よりの理由だった。

そしてだからこそ服部以外のかつての交友関係にいる人物達は蘭達とも近かった事もあって新一の現状を聞いている上で、軒並み仕事において責任ある立場にいることから新一との距離を空けた上で交友関係を遠ざけたのである。もう自分達も新一と付き合う気には色々となれないからと。










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