子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

「それにね、仕事のない日はいつなのかメールしてくれればこっちが合わせるって言った時は何度もあったでしょ?そしてそれで空いてるって言われた日のこの時間に私達が時間を空けても、数日前だったり本当に数時間前だとかでまた仕事が入っただとか、ついさっき事件に出会ったからまた今度にしてくれって何度もなってきたんだよ?そんな風に新一は仕事や事件を優先して私達の事を後回しにせざるを得ないことばかりなんだから、新一に余計な事なんて耳に入れないようにしようって私達が思ったのは間違ってたの?」
「ゴメンッ!!俺が悪かった蘭!!だから止めてくれ!!もうそんな言葉は聞きたくない!!」
ただ蘭の静かな怒りはまだまだ続くとばかりに盛大な嫌味を含ませた問いかけの言葉を投げ掛けていくのだが、新一はもう聞きたくないとばかりに耳を手で塞ぐようにしながら大声で謝罪と共に制止の言葉を懇願するように口にした・・・溜まりに溜まった物がどれだけ多いかもだがそこに込められた負の想いの質があまりにも高過ぎたことに、今までそんなものを蘭達が俺に向けて持つなど有り得ないと考えることが一切なかった新一にとって、少しでも耐える事など出来る筈もなかった為に。
「何言ってるの、新一♪謝る必要なんて無いじゃない♪いつもそんな時に貴方は今のように本当に悪かったなんて言うんじゃなく、ワリーワリーっていっつもかる~~~く、本当にかる~~~く申し訳無いなんて心から思ってない笑顔の謝罪を入れてきたでしょ?だからちゃんといつも貴方は謝ってきたのに、なんでまた謝る必要があるの?」
「っ!!」
しかし今の蘭がそんな言葉をただ受け入れるなんてある筈もなく、むしろ明るく楽し気に今までちゃんと謝ってきただろうと返すのだが・・・言葉に存分に含められていた今までの新一の謝る際の態度を一回程度、それも自分にとって聞きたくないことを言わないでほしいという、極めて自分勝手な強い望みしかない謝罪の言葉で許せる筈なんてないといった強い考えを感じさせられ、たまらずビクリと体を大きく震わせた後・・・新一はソファーから勢いよく立ち上がった上で、蘭に深々と頭を下げた。
「・・・頼む、蘭・・・俺の勝手な言い分になるけど、真面目な雰囲気にもだけど話を元に戻してくれ・・・もう今までの話で蘭もそうだし、父さん達も俺がやったことだとか言ったことに色々と感じていたって事くらいは流石に分かったけど、だからって今の俺じゃまた蘭の気に入らない事を無意識の内に言ってしまうかもしれないから、まだ他に蘭が何か言わないといけない話があるならそっちの方を話してほしい・・・」
「・・・はぁ、まぁいいわ。今更もうそんなことしないから今までの事を許してくれなんて言われるより、話をさっさと進めてくれって言われる方が全然いいわ。だから話を戻すわ」
「・・・ふぅ・・・っ!?」
そして頭を下げたまま新一がまた懇願するよう、それでいて先程とは違い静かに心底から乞うようにさっきのようにと願う声に、蘭も仕方無いと呆れたように漏らすと新一は一息ついたと頭を上げるのだが・・・そこにあった蘭の鋭く敵を睨むような視線に驚き体を揺らした。
「・・・でも勘違いしないで。今のようになったのはそもそも貴方が原因であって、私達が思ってきた上でこういうように行動しようって決めて話したことに貴方の都合でことごとく反論してきたことからなの。だから話は戻すことにはするけど、反対意見があるなら別に言ってもらうことは別に構いはしないけど・・・そこからまた今のようにならないとは保証はしないからそれはちゃんと分かった上で話を聞いてもらうわよ。いいわね、新一?」
「っ、あ、あぁ・・・分かったよ・・・」
蘭はそのまま話を戻しこそはするけど同じようにしないとは約束はしないと有無を言わさない強さを伴わせて言うと、新一は動揺を隠せないままに頷くしかなかった。もう少しでも優しくしてくれ、なんて冗談でも言えば更にとんでもないことになる光景が容易に見えたが為に。



・・・ただそうして話を進ませたくないし何なら今すぐ場を離れたいと思う新一ではあるが、そうすれば後が酷いことになるというか心象が悪くなることを確信出来ている為に改めて恐る恐るとソファーへと座り直した。









.
9/23ページ
スキ