領域を踏み荒らす者に渡す報い

「・・・と言うかコナン君、だったかな?君は女の人しかいない所は嫌だって言ってたと聞いたが、そこのお姉さんから話を聞いてここがいいって言ったのかい?」
「うん!僕こっちの方がいい!」
「・・・ふむ」
そんな場でルルーシュがコナンに向けて優しげにここがいいかと改めて問い掛けると、元気よく頷いたその姿に少し考え込む様子を見せる。
「・・・蘭、詳しい話は後日にして今日は阿笠さんの所にその子を戻してやってくれないか?」
「えっ?どうして?こうして連れてきたんだから、預かってくれてもいいじゃない」
「その子に君の様子を見る限りじゃ、その子の親が持たせただろう着替えとかは持ってきてないんじゃないかな?知り合いではあるとは言え独身の阿笠さんに子どもを預けると言うなら、そういった配慮を親はすると思うんだが」
「あっ・・・そう言えば・・・」
それで考えが済み阿笠の元に今日は戻すように言うルルーシュに蘭は何故と言うが、優しく諭すように着替えのことを口にされてハッとした。確かに着替えの類いについてを全く考えていなかったと。
「それに毛利さんも言っていたが、今日このまますぐにこの子を預かれだなんて言われた所で素直に頷けるはずもないし、納得するにしても色々と時間が必要なはずです。そうですよね、毛利さん?」
「まぁそりゃな・・・いきなり人の子を預かれなんて言われたって困るだけだし、それにいつも俺はここにいてやれる訳じゃねぇしこの二人だってここに住んでる訳じゃねぇ。だから面倒見ろなんて言われたってこっちも困んだよ」
「え~・・・」
「大丈夫だよ!僕、いい子にするから!おじさんがいない時でもさ!」
「コナン君・・・」
「・・・っ」
その反応に小五郎へと伺いを立てて話を進める内に蘭は困ったと表情を変えるが、いい子にすると元気に言葉にするその姿に感動したというように震える。ただその傍らでカミーユがまた身震いをさせていたことには気付いていない。
「・・・ともかく、一度阿笠さんの所に行ってくれ。長い間は無理にしてもせめて今日くらいは阿笠さんの所に泊まってくれないと毛利さんも困るだろうし、そうするにしても必要なものを一々取りに戻るのは手間だろうからちゃんとその子の両親が持たせた物だったりを忘れずに持ってくる為にもだ」
「・・・分かったわよ。本当なら預かってほしかったのにな、もう・・・」
しかしルルーシュが再度念を押すように今日は勘弁するようにと言ったことに、極めて渋々と言ったように蘭は引き下がることを了承する。
「っ・・・!」
「・・・」
・・・その光景に僅かに悔しげに口元をひきつらせるコナンがいたが、その事に気付いたのはカミーユ一人だけであった・・・









・・・それで蘭はまだぐずるようにしていたコナンを引き連れ、三人の元を後にしていった。
「・・・おい、カミーユ。大丈夫か?さっき体の様子が悪そうにしていたが・・・」
「いえ、今は大丈夫です・・・」
「そうか・・・それならいいが・・・」
「すみません、毛利さん。もう少しいる予定でしたが、一先ず帰ります。夜はカミーユの具合が良くなったらまた来ますので」
「あぁ、分かった。あんまり無理するなよ」
それで小五郎がカミーユの容態を心配し、ルルーシュが無理はさせないから戻ると言ったことにすんなり頷くと共に気遣いの声をかけた。









・・・それで二人も小五郎の所から出ていくのだが、真っ直ぐに帰宅するのではなく近くの公園に寄ってベンチに横並びに座った。









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