子を持てば親として、大人として成長するか? 後日談

「ならいい・・・ってこれで終わりたかった所だけど、もうこの際だから優作さん達もいずれ貴方に言いたいことがあるって事を私に話してたから、それを話させてもらうわ」
「えっ・・・と、父さん達が俺に何を・・・?」
その姿にこれで終わりにしないとまだ怒りを滲ませつつ優作達の話をすると告げる蘭に、新一はたまらず不安げにどういうことかという声と視線を蘭に向ける。
「これはお父さんが入院してる時に優作さん達も一緒にお見舞いに行って、お父さんから今話したような事を私に頼みたいって言った事を聞いて優作さん達も色々と考えていったらしくて、それで後日になって私にこう話してきたの・・・私達もそう遠くない内に新一にこの家の中を片付けてもらった上で、解体するように言うようにしたいってね」
「はっ!?ど、どうしてこの家を解体なんて言葉が出てくるんだよ!?」
「単純にこの家も建築法に当てはめたらもう年数がオーバーしてるってこともそうだけど、それ以上に重要なのは・・・私と新一がいなくなればもうこの家に住むのもそうだし帰るなんて人もいなくなるからよ。だって楓はもうアメリカで死ぬまで暮らすって言ってるんだから、そうなったら新一から楓にこの家の所有権が移っても誰も住まないんだから家は傷んでいくだけになって、誰の役にも立たないまま佇むだけだとか楓がその後始末で面倒になるのは目に見えてる・・・だから新一が生きている内にこの家についてを片付けて土地を売り払ってもらった方が色々とスッキリすると思ったっていうのが優作さん達が考えたことよ」
「と、父さん達がそんなことを本当に考えた・・・っていうのか・・・!?」
まずは事の経緯からで、続けていかに考えてそのような結論に至ったのか・・・それらを語っていく蘭の話に、新一は信じられないと動揺を全く隠せないままに声を漏らしていく。






・・・将来的に工藤邸に人がいなくなる。これは今はまだそうではないと言えるが、新一がいかにそうなってほしくなくともそうなるのは避けられないものだった。何せ今の時点でもう優作と有希子の二人は蘭ちゃんに最期まで面倒をかけるわけにはいかないから(ちなみに当然だが二人には新一に面倒をかけられたという想いはあっても、面倒をかけたという気持ちは一切ない)と体自体はまだ元気だが施設暮らしへと移行し、基本的に工藤邸を離れている。小五郎の葬式といったような何らかの用事があればまだ動けるからとそこに赴く形で用事を済ませたりしてだ。

その上で楓は先に出たようにアメリカで死ぬまで暮らすと明言しているから工藤邸を帰る場所としているのは新一と蘭しかもういないのだが、それももう遠からず変わる事になる・・・いや、変える事にして蘭は既に動いていた。






「信じられないというなら後で優作さん達に話をすればいいけれど、ただ一応は今は貴方がこの家の家主だからそんなの嫌だと言えば断ることは別に全然構わないわ。でも貴方がこの家を解体するかしないかのどちらを選んだとしても、私が遠くない内にこの家を出る事については優作さん達には先に話してあるしもうその準備はしてるわ」
「はっ!?何で解体しなくても出ていくなんて事にするんだよ!?」
しかし家を解体するかどうかに関して新一の意思だからと一応は逃げ道があるような事を示唆する蘭だが、代わりに自分はここを出ると言い切る様子にまた驚きと共に何故と声を大きく新一は向けた。
「優作さん達の考えに賛成した部分があるから解体するなら早めに住む場所を確保しなきゃって思ったのが大きいのもそうだけれど、もし貴方がそれを否定したならって考えた時、貴方と一緒の気持ちだからここで暮らしてるって風にしないためよ。後の為にこうした方がいいって言ったのなら、何でそんなことにした新一と暮らしてるのかって言われる可能性もあるって事でね」
「っ!」
だがすかさず蘭が返した答えで新一はすぐに息を呑むしかなかった。本当に蘭はこの工藤邸を解体した方がいいという考えを持っている上で、それを拒否するならここでまた暮らし続けるなんて出来ないと理解させられて。









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