・・・楓がバスケット選手を引退してから数年という時間が経った。その期間で楓は選手ではなくなったことから目立たない存在となったものの、バスケットの事をよく知るスタッフとしてメキメキと頭角を表していって日本でも縁の下の力持ちというように特集されることがあった。後進の育成やチームの成長を促している存在だと。

当然そんな楓の活躍に関しては耳にして蘭達も微笑む事が多かったのだが・・・そのように生活する中で以前から体調を悪くして病院で寝たきりになっていた小五郎が亡くなることになって、楓もその訃報を受ける形で急いで日本に帰り蘭達と共に葬式に参列して葬式自体はつつがなく終わった。葬式自体は・・・






「・・・ねぇ新一。少しいいかしら？」
「何だよ、蘭？何か用か？」
・・・葬式が終わり火葬場で火葬も終え、工藤邸に戻ってきた蘭と新一の二人。
そのリビングに来て流石に年相応にシワも増えて白髪も見える蘭からの改まった言葉に、同じように歳を取ったと感じさせる新一は何かと返す。
「まず先に聞くけれど、明日からの一週間は仕事は入れてないわよね？流石にお父さんが亡くなったっていうのに、依頼があるから仕方無いみたいなことはしてないよね？」
「っ、そ、そんなことは流石にしてねぇよ・・・いくらなんでもそんなことしたら、おっちゃんの事をなんとも思ってないみたいになってしまうことをすること・・・」
そんな中で蘭が仕事についてを聞くのだが、有無を言わさない圧を感じた新一はどもりつつも流石に入れてないと首を横に振る。
「そう・・・なら三日後はこの家にいて。少し話さないといけないことがあるの」
「三日後？今じゃ駄目なのか？」
「・・・ちょっとゆっくりしたいの。覚悟してた事ではあっても、お父さんが実際に亡くなった事について・・・」
「っ・・・悪かった。取り敢えず三日後にはちゃんとここにいるようにするから、無理はするなよ・・・」
そんな答えに納得しつつ三日後に話がしたいとのことに何故今じゃないのかと新一は疑問を向けるが、蘭が伏し目がちに悲しそうに漏らした返しにハッとして謝った上で三日後ということを受け入れた。葬式の間は気丈に振る舞ってはいたが、大好きだった小五郎の死は蘭の心に大きな動揺をもたらしていたのだから、それが少しでも収まってから話を聞こうと。


















・・・そうして三日後になり、蘭と新一はリビングのソファーで向かい合う形で座っていた。



「・・・もういいのか？まだ気持ちが落ち着いてないならまた三日後とか後でもいいけどよ」
「大丈夫。もう落ち着いたし、今から話す事に関しては早い内に話さないといけないことだっていうのもそうだけど、一部は今となってはお父さんの最期の頼み・・・遺言のようなものになったから今の内に話すべきことなの」
「・・・おっちゃんの遺言？」
そうしてまず大丈夫かと声をかける新一だが、蘭が平気と答えつつも小五郎の遺言のようなものとの答えに訝しげに眉を寄せる。
「じゃあまずお父さんから頼まれたことについて話す事にするけど、それは今新一が探偵事務所として構えているあのビルのことなの」
「あのビル？ビルがどうしたって言うんだ？」



「まず結論から言わせてもらいけれど、後二年後にはあのビルは解体する予定でいるわ」



「っ！？」
・・・だがあっさりと続けられたビルの解体予定についての言葉に、新一はいきなりの事であったのもあって驚愕の表情を浮かべた。全く予想なんかしていなかったことが出てきたこともあり。









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