子を持てば親として、大人として成長するか?

・・・そうして優作は楓の家で一泊した後、楓の家を後にしていった。優作からすればまだ挨拶回りの為に動くことが必要だったこともあるし、あまり楓の家に居すぎても日本に帰るのはそう後の事じゃないということから遅くに帰ると、自分だけ日本にいないことになる可能性も否定出来ないから挨拶回りは早めに終わらせて日本に戻ろうと思ってだ。






(・・・あの様子なら楓は大丈夫だろう。セカンドキャリアに関してもちゃんと考えていることもだが、家族のことも考えているあの姿なら余程のことがなければ夫婦や家族の問題で深刻なことはな)
・・・そうして楓が運転する車で空港まで来た優作は次の目的地に向かう飛行機に乗り、その中で楓は大丈夫だろうというよう心中で漏らしていた。自分達の心配は必要はないだろうと。
(・・・その点では本当に新一が反面教師になったんだろうとは思うが、そう考えると私達は新一を自由にさせ過ぎたのだろうな・・・だからこそあぁも自分の気持ちややりたいことを優先するばかりになってしまったのだと、蘭ちゃんや毛利さん達と楓の面倒を見ていたことから改めて実感してしまうな・・・)
ただだからこそというか改めて新一に対して良くなかったことに関してを、蘭達との楓との日々を思い返しながら考えてしまう。






・・・優作も有希子も新一が産まれてから育てるにあたって、自由にさせすぎたというように感じていた。これに関しては新一の物分かりが良かったことや小さい頃から推理小説が好きであって、優作と波長が合った事で自然とこの子は大丈夫だというように感じたから有希子と共に楽観的になった物だった。

だからまだ小さいからこその危うさには気を付けたがそれでも新一なら然程心配はいらないと思って育ててきたが、高校の時の事でそれらが間違いだったと楓が産まれてからの流れから考えるようになっていき・・・それが正しかったと明確に思ったのは、楓がバスケットに夢中になりながらも面倒を見てきた蘭や小五郎達にもそうだが自分達にも感謝だったりを口にしてきた姿だった。

・・・前述した新一が一人でやるというように動いた時についてだが、全てが解決したとなった時は流石に優作達も日本に帰った。様々に言うことがあったが、一番は労いをするためにであった。今まで色んな事があったが、よくここまで来れたと。

それで実際に会ってそういった旨の言葉をかけていき、新一も礼の言葉を返してきた訳なのだが・・・今になって考えてみればそれは事件を解決した事に対する賛辞への礼であって、自分達への感謝の礼ではないと感じたのである。度々協力して欲しいことがあると呼び出されて協力したり、たまたま帰ってきた時に新一が困っているといった様子だったからその度に助力してきたことは多々あったというのにである。

この事についてを優作なりに考えてみたのだが、そこについては考えたくなかったことがすぐに頭に浮かんだ・・・それは優作達が一芝居打ったことに対しての反応のこともあるが、事件が解決するまでの間でもしてからでも心底から心配させてだとか面倒をかけてゴメンというような、申し訳ないといった顔を見たこともないし謝罪も一度たりとてなかったことから、新一は自分の行動や判断は成功してきたというのも相まって間違いではなかったのだから、これで良かったことに何で感謝しなければいけないのか・・・というように思ったのではないかと。

勿論こんな考えを新一に聞かせればそんなこと思ってないといったように激昂しながら言うだろうし、感謝はしていたというように言うだろう。だがそれは表面的な物であるというか、最初の芝居以降はむしろ自分に協力してたのに何を今更というように思う気持ちが大半だろう事は確実だと見ていた。むしろ奴らを捕らえる事は必要な事だったのにそんな細かいことを一々言うなとなるだろうと。

その辺りは確かに優作達も協力はしてきたが、それは新一だけではどうにもならないと判断したり新一からも協力を要請されたからであって、自分達も乗り気な部分があったことは否定出来ないのも確かな所はあった・・・だがそれも新一を元に戻すための協力であってそれが無ければ新一が詰んでいた可能性が高かった場面はいくつもあったし、それも新一を詰ませず死なせない上で元に戻って欲しいと思った上での基本は静観という立場からたまにの協力という形だったのだ。

しかし新一はあれは必要な事だったし父さん達もそれは分かっていての事だろうから俺に協力したんだろうと、感謝より当然といった気持ちが大きかったのだろうと・・・楓や蘭に小五郎達と触れ合う日々の中で感じたのである。口数は少ないなれど感謝の言葉やらを素直に伝えてくれる姿に。









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