「・・・でももうそれでいいっていうか、新一がアメリカに行くだとかっていう事を言い出さない限りはそのままにしておいた方がいいと思います。楓もそういうことを言い出されたくないだろうってこと以上に、新一は探偵になってからは外国に行くことを私に提案すらしなかったんですから、少なくとも今は新一が海外に限らず旅行しようなんて気分だとか考えになんてならないと思ってますから」
「・・・確かにこれまでの事を考えれば新一は自分から楓の元もそうだが、蘭ちゃんとたまには何処かに旅行に行こうなんて事は切り出しそうにないだろうな」
「あぁ、確かに・・・それに新ちゃんあぁ見えて依頼で一人で行動することには慣れてはいるでしょうけど、単純に依頼も何もない単なる旅行とか一人で行けるようなタイプじゃないものね。そんなことするくらいなら家で推理小説を読んでた方が全然いいっていうこともそうだけど、一人で観光名所を見て回ったりするようになんて言ってもホームズを始めとして推理小説関係の物が無いと行く気なんて起きないでしょうし」
「はい。だから新一が一人でアメリカに行くことなんてないでしょうから、気にしなくていいと思います」
しかしそれらを踏まえて新一が自らアメリカに向かうことはないだろう・・・そう口にする蘭に優作も有希子も納得といった様子を浮かべ、改めて大丈夫だろうと頷いた。新一は一見アクティブな性格というか行動を取ってはいるが、その実は探偵としての仕事だったり有名な推理小説の逸話があるような所になら一人で何処にでも行くが、そういったものの関係無い単なる旅行など自分からしたいと誰かに切り出すこともそうだが、ましてや自分一人ででも何処かに向かうなんて程旅行が好きなんていうようなタイプではなかった為に・・・

















・・・そういったように話し合った蘭達だが、実際に新一が楓の所に行くと言い出すことはなかった。案の定というか仕事に関してを入れる事を止めず、そんなスケジュールでプライベートで旅行なんか出来る筈がないというように依頼を受ける日々を過ごしていったのである。

だから新一はアメリカに行くことなく変わらない探偵としての日々を過ごしていくのだが、その中で新一が知ってか知らずか蘭や優作達は勿論だが小五郎や英理も時折アメリカに行って楓の元を訪れていった。大学での生活の様子を見に行ったりお土産などを持っていったり、大学の卒業後に晴れてプロのトップリーグのチームから声がかかってそこに行ったことから、楓を直に応援しに行くためだったりとだ。

そしてその楓はトップリーグのチームに入ってからもめざましい活躍をしていった。特に日本人として初のリーグＭＶＰに輝くという結果を残したことにより、アメリカトップリーグ史上最高の日本人選手と呼ばれることになった。

その事に蘭達は勿論喜んだ上でリーグの節目節目の試合には新一を除いた親族の面々は全員が全員毎度毎度とは言わずとも、実際に現地に行って試合観戦するといった事を行っていった。楓の晴れ舞台となる試合を見る為にだ。

だがその中でもやはりというか新一は自分もアメリカに楓の試合を見に行くといったような事は言わず、蘭達がアメリカに行くと知った際には俺からも頑張れって伝えておいてくれといった言葉を漏らすというくらいで済ませるばかりであった。仕事が忙しいから自分は時間を取れないからと、お決まりの文言で返す形でだ。

ただもうそんな新一に関してはもう全員今更ということで時間は進んでいって、楓は３８という年齢になった時に選手としての引退を発表した。まだその時にはトップリーグの選手としてプレー自体は出来てたが、体力の衰え及び思う通りのプレーが出来なくなったことにより選手を引退すると。









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