子を持てば親として、大人として成長するか?

・・・優作達は新一の事件や謎に対する姿勢もそうだが、新一がそれらを引き付けることに関してをもう当然の事だと受け止めていた上で、新一ならそれらをどうにかすることは出来るという確信めいた気持ちを抱いていた。そして長年の経験からもう巻き込まれたとしても仕方無いものと思えるようにはなったと。

だが事件が起きたり推理が必要な状況になっても楓を巻き込まないだとか、そもそもその場にいさせないよう離れさせてきたことから、楓からしたら事件は慣れないというか俯瞰から見る物となってしまったのだろうと優作達は感じてしまったのだ。自分はその場にいるような人間ではないのだろうと。

そしてだからこそ楓からしたら新一を父親としては一応認識はしてはいるが、もう殆ど事件を引き付ける疫病神のような存在でしかないと考えるくらいにはなっていったのだろう。自分達のように事件が起きたら頼りになる存在というのではなく、楓から見たら事件を引き付けてしまうだけの存在と。






「・・・少し言い過ぎました。俺はもう寝ます」
「・・・分かった。後はまた明日以降に話し合おう」
楓はそんな様子に少し申し訳なさそうにしながら寝ると切り出し、優作が頷いた事で黙礼をしてから部屋へと戻っていった。
「・・・あの子なりに自分の本音と私達の新一に対する考えや印象だとかが違うことを感じて申し訳ないと感じたんだろう。何だかんだで事件を解決するには新一の存在は在るべきだと思っていた私達と、新一がいるから事件が起きているというか引き付けている原因とも言える存在だというように思っていた事についてを」
「・・・私達が楓をあんな風にしたのか、それとも楓自身があぁなることを選んだことだからなのか・・・」
「・・・どっちもあると思いますけれど、そこに新一が楓と触れ合おうとする時間が無かったこともですけど何より・・・この十何年かで分かったつもりだっただけであって、私達は新一は普通の人の親や夫になれはしなかったにしても、探偵としてはまだともかく人としても間違ってたなんて心の底からは思ってはなかったんだろうということが、私達と楓の決定的な違いだと今なら思うんです・・・」
「っ・・・そうじゃないって否定したかったけど、蘭ちゃんの言葉を聞いて納得出来た私がいたわ・・・楓が産まれてから結構色々と言われるようにはなったけれど、何だかんだで私も新ちゃんの事をダメな子じゃないみたいに思ってたのは確かだって思っていたから・・・」
「・・・確かにそう言われてみると、新一の事を人としてダメだとまで思っていなかったのは否定は出来ないな・・・こういう言い方が良くないのは分かってはいるが、新一の倫理観に関しては探偵になるだけあって人としてどうかということに関しては心配はしていなかった。だが楓から見たら新一は言葉では否定はしても心底では事件を望んでいることもだが事件を引き付けていると考えたのだろう。だから楓は自分が何事もなくバスケットをやるためにも、今更普通の親子らしく交流したいなんて思わなくなったんだろう上で、何ならそれこそ仕事であるならこそ自分の元に来てほしくないんだろうな・・・そうして新一が来て事件が起きれば、バスケの試合だとかが台無しになると考えてだ」
「だから新ちゃんがアメリカに来るっていうこと自体、楓ちゃんは望まないってことになるのね・・・」
それで三人のみになった場で楓の考えについてを話し合う三人だが、その心中を予測していく中身に三人共に納得と共に重く首を横に振るしかなかった。純粋にバスケットを楽しみたいと思うからこそ、新一からすれば純粋に事件の解決や謎を解明しなければならないと思っていたとしても・・・新一の存在そのものが事件を引き付けていると楓が思っているからこそ、そんな新一がこれからの自分の元に来ることなど望まないのだと感じていき。









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