子を持てば親として、大人として成長するか?

「・・・今言ったようにあの人からしたら事件に関わることもそうですけど、周りで事件が起きることは普通のことだって思ってるかもしれません。けど俺から言わせればそんな事件が起きるようなことは望んじゃいません・・・事件が起きたら解決しないでいいなんて言うつもりはないですけど、俺はただバスケに集中したい。だから俺はあの人には俺の近くに来てほしくはありません・・・あの人が近くに来ればそれだけいつ事件が起きるかもしれないということを考えると、そうなった時点でバスケの試合やら何やらが止まってぶち壊れかねないから」
「「「っ・・・」」」
そうして楓はいかに新一に近くに来られて事件が起きてほしくないのか・・・そう忌避するよう語っていく姿に、蘭も優作達も苦い顔をしながらも否定が出来なかった。新一がいるだけで事件が発生するなんて有り得る筈がない、ということを。






・・・新一は未だに否定するが自分の周りで事件が起きるだけであって、自分が来たから事件が起きたわけではなくあくまでたまたまだということを信じて疑っていなかった。というより新一からすればそういったように考えなければまるで自分が事件を望んでいて、その欲求に世界が応えているだなんて不可思議かつ不謹慎なことなんて考えたくもないのだろう。一応新一としては自分はそんなことは望んではおらず、あくまでたまたま事件が自分の周りで起きているだけと思わなければ自分の探偵としての在り方に関わってくるのだから。

だが新一の子どもとして長いこと新一と接してきたり聞いてきた楓からすれば、楓の性格もあって新一が望んでいるから事件が新一の周りで起こっているという認識であると共に・・・新一とは小学生になるころくらいにはもうほとんど会話を日常的にすることなどなくなっていたし、蘭や優作達もそんな新一の生活の様子から度々イベントの度に声掛けをするくらいで首根っこ引っ付かんでまで家に連れ帰るなんてことはせず、たまの話題として新一の事を挙げるくらいで新一の事を話すことはあまり無くなっていた。楓が新一の事を特に聞きたいというように要望を出さなかったのもあってだ。

だがそうして楓と新一が互いに向かい合わず話し合いもしないし蘭達も新一に関してを話し合わないという環境が続いたことで、ハッキリと新一に対する楓の心に考えといった物がもう変わらない形で固まっていたのだということに蘭達は今気付くと共に・・・それらが決して否定出来る物ではない事も考えてしまっていた。新一が近くにいるだけで事件か起きる可能性は高まってしまうことは。

・・・この事に関しては優作も優作で同じように事件に関わりやすいというか、事件の解決を求められる事は度々あった。だが元々推理小説家としてトリックを解明出来るというだけで、別に優作は探偵として兼業して活動しているわけではないしそうし続けたいと思ったことなどない。だから別に自分の周りで事件が起きないことを特に問題と思っていないし、新一の事で日本に帰ることにして日本に帰ってからはもう完全に事件が起きたら新一の方に連絡することが普通になっていたことで、優作は日本で事件が起きても引っ張り出される事はなかった。

その事は別に優作は構わなかった・・・自分が事件や謎に向かい合う事に関して必要であればやるというくらいで、是が非でも自分がそうしたいといった訳ではないのだ。それに楓が新一とは明らかに違う形で推理小説だとか事件などに興味を一切持たず、バスケットというスポーツに幼いながらに一直線に興味を示したことにより自分達のように推理や探偵に関わることなんか必要ないと感じた上で、同時に自分達は楓をそこに関わらせてはいけないものだとも感じたのである・・・楓がバスケットに夢中になっていく姿に新一が自分達のようになってほしいと思っていたことは聞いたことはあるが、もう楓はそんなことを選ぶような子じゃないのだからバスケットに専念させてやるべきで推理や事件などに巻き込むべきではないと。

だから優作は事件に推理だとかの話題に関しては有希子や蘭にも自分の考えを話した上で一切楓の前で話してこなかったし、新一がたまに帰ってきても楓はその時にはクラブや部活といった活動で遅くなって時間が合わなかったりして会話を交わすこともそうなかったし、どこかに行くだとか膝を突き合わせて話をするといったこともなかった事から大して気にしていなかったのだが・・・今楓の本音を聞いて唖然とすると共に、納得してしまったのである。新一がいるだけで事件が起きる可能性は著しく高くなるということに。










.
18/28ページ
スキ