子を持てば親として、大人として成長するか?

「・・・あの行動について新一にも非があるのは確かではあった。だがそれでも私達が日本にずっと残っていたならまた別の道があったのではないかとか、新一の考え方やらが変わったのではないかと思うとやはり私達がやりたいことを優先しすぎた結果だと思うんだ・・・今のように自分の思うようにしたいしそれで成功してきたんだからという自負が新一をあぁさせてしまったのだと考えるとな・・・」
「貴方・・・」
そうして優作から出てきたのは後悔を滲ませる顔と声で、有希子は辛そうに顔を歪めるがそこで楓がソファーから立ち上がった上で首を横に振った。
「・・・俺はその時にはまだ生まれてすらいなかったから実際に何があったのかは分かりません。けど俺から言わせれば貴方達が原因なのかどうかはともかく、今までの行動を選んだのは父さんだ。少なくとも貴方達に責任は全くないとは言わなくても、あの人が選んだことだからあの人の責任な部分は大半を占めていると俺は思います」
「楓・・・」
「私も楓の言う通りだと思います・・・優作さん達がいたら新一は確かに変わることはあったとは思いますけど、それはもう過ぎた話であって私と結婚してから楓が産まれて今までどういう風に動くのかを選んできたのは、他の誰でもない新一自身ことです。前のようにやりたいだとか気持ちよく仕事がしたいだとかっていうようにって、自分の思うようにしたいという為・・・そんなことの為に親として優作さん達がやってきたことを思い返す事もないままに楓の親として、私の夫として最善だと思って疑ってなかったんです。そこに優作さん達の影響があったとしてもそれを選び取ったのは新一自身であって、優作さん達が全ての責任を負う必要はないと思います」
「蘭ちゃん・・・」
そこから静かながらも明確に新一の責任だと真っ直ぐハッキリ言い切る楓に、蘭も最早言わずにはいられないと真剣な眼差しで新一が選んだことだというように言うと優作も有希子も何とも言いがたそうな表情を浮かばせるしかなかった。自分達が全く悪くないと言ってくれる訳ではないことはありがたくは感じはするが、それでも孫と義理の娘からここまで新一が言われると事にどうとも言えないといった気持ちを抱いて。
「・・・それに俺はもう来年になればアメリカに行く身です。なのに今更あの人に普通の父親らしい事なんかされても俺からすればどうしていいか分からないどころか、むしろそういったことをしたいと言われても俺からすれば迷惑にしか思えません」
「・・・え?」
だが楓がそっと目を閉じつつ口にした新一に今更親らしくなられても困るといった言葉に、優作達だけでなく蘭までもがキョトンとした声を漏らした。



「・・・あの人からすればもう日常なのかもしれないけれど、俺はあの人の周りで起きる事件なんかに関わりたくないし関わらせないでほしいということです。特にアメリカに行ってからあの人が気まぐれに親として俺の所に来て事件なんかが起きるようなことなんか俺は絶対に嫌でしかないです」



「「「っ!?」」」
・・・だが次の瞬間に楓が口にした新一が来ることだけで事件に繋がる可能性が異常に高まると信じて疑ってないといった言葉に、蘭達三人は一斉に驚愕に息を呑んだ。楓が新一の事をそのように思っていたという事を初めて聞いたのもあり。









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