子を持てば親として、大人として成長するか?

「だからこそ新一としてはそういった諸々に関してはやりたくないことではあっても、やらなければどうしようもないことだからやっているという部分はあるだろうが・・・そういった煩わしさなどから解放される為にだったりもだが、少しでも昔のように気楽に行きたいという気持ちがあったのだろう。だからこそ蘭ちゃんとの接し方に関しても夫婦関係というより、高校生の頃の付き合うかどうかくらいの大人としての責任なんかなくて単純に好きあうくらいの関係が心地好かったんだと私は見ている。ただ純粋にそういったような気持ちでいられるようなくらいがな」
「・・・そういった新ちゃんの気持ち自体は分からないとは言わないわ。でもそういった気持ちと折り合いをつけることが大人になることだと思うのだけれど・・・」
「・・・その辺りは私達が新一を自由にさせ過ぎたこともまた一因と言えるだろう・・・新一が自分なら大丈夫と私達が高校の時に一度大掛かりな演技を仕掛けた後にそういうように答えた上で、余計な事をした仕返しと言わんばかりに私の居場所を出版社の面々に流した時の事を思い返せば分かる筈だ。あの時は新一からすれば自分だけで大丈夫だから余計な事をされたという分の意趣返しの行動だったんだろうが、あれは今となって考えてみれば私達の行動が気に食わなかった仕返しというにしてはあまりにも陰湿ということもだが、本気で私達の心配に対して余計な事をという怒りがあったからやったことだったんだろうとな」
「っ!・・・確かにあの時はやられたって思うくらいだったけれど、新ちゃんのやり返し方の事を考えると新ちゃんは私達のやったことに本気で怒った部分もあったから、あんな風にやり返したんだって思うと今となってはちょっと・・・って思っちゃうわね・・・」
だからこそ新一にフラストレーションが溜まっているからあんな風にしている部分もあるのだろう・・・といった声に有希子はどうかというような声を漏らすのだが、優作が自分達のせいでもあったのと共にかつての新一の行動についてを口にすると苦くも否定は返せないと表情を歪めるしかなかった。あの時のことは今となっては良くない事だと思えると。






・・・二人が言っているのは何の事かと言えば、先に出た新一が優作達の手を振り払って自分で行動をするといった後での事だ。その時に優作達は新一の事を信じてまた海外での生活を楽しもうと日本を発つのだが、新一は優作達が仕掛けた危険だから引けといった大掛かりな芝居の仕返しと言わんばかりに、新一は優作が仕事を受けていた海外の出版社の者達に優作の居場所はここだというタレコミをしていったのだ。それもご丁寧にも飛行機の中という逃げようにも逃げれない最悪のシチュエーションを狙ってである。

その時は優作も有希子もしてやられたといった気持ちで、優作は小説を書かざるを得ない状態になって有希子も呆れたようになるしかなかったのだが・・・今となって考えれば優作達のやり方は多少過激であったということは加味しても、新一に我を通した際の危険に関してをその芝居を通じて伝えた上で本気で心配したのもまた事実だったのだ。だからこそ最後はおふざけのような形で締めはしたが、そんな大掛かりなことまでしたのは新一の身を案じたからということに関しては嘘偽りなどなかった。

だが新一の意志の強さを見て新一のやりたいようにさせようと優作達も考えたのだが、そうして新一が望むからで海外に戻ろうとした際にそのような事をされたのだ・・・当時はやられたと思うばかりであったが、あの行動は今となって考えれば芝居の事が気に入らなかった事を踏まえたとしても、新一からしたら心配なんてしなくてもいいのに余計な事までしたというような気持ちや考えにしかならなかったから、余計な事をしてくれた優作達に仕返しをしようと子ども染みた考えからあぁしたんだろうと優作は考えたのであって・・・実際に新一は出版社の面々が優作達の元に来た時は大したことをしたのではなく、むしろ当然とばかりにアクビをしていたのである。一応自分の心配をしてわざわざ海外から戻って行動してくれた筈の優作達に対し、これが当然の報いとばかりにだ。










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