「どうした、新一？何を話したいんだ？」
「・・・その、楓が高校を卒業したらアメリカに行くって聞いたんだけれど、本当なのか？」
「あぁ、本当だ。それがどうした？」
「っ・・・え～っと、その・・・」
・・・とある喫茶店にて、向かい合う形で新一と優作は対峙していた。
そんな中で以前に比べてシワが増えて歳を取ったと見れる優作からの問い掛けに、同じく歳を取ったと感じさせる新一は歯切れが悪く言葉を発しにくいといった様子を見せる。
「・・・考えがまとまってないなら私はもう行くぞ。まとまってから改めて話をしたいと言えば付き合おう」
「待ってくれ！分かった、言うよ・・・その、楓はもう高校卒業するってのもそうだけれど、アメリカに行くって話になったんだろ・・・だから蘭に俺のサポートをするようにって言って欲しいんだよ・・・」
「・・・何かと思えばそんなことを言いたかったのか・・・」
優作はそんな様子に考えをまとめてからにしろと席を立とうとするが、慌てて新一が口にしたお願いに呆れたようにそっと目を閉じる。
「なぁいいだろ？もう楓はそんな風になるんだからさ・・・」
「・・・お前が何故今いきなりそんなことを言い出してきたのかは検討はつく。大方もう楓の面倒を見るだとか親としての責務を果たせといった事から解放されるとなる今だからこそ、そんな煩わしさのない日々になると共に自分一人でやっていたことの様々な負担を蘭ちゃんに担ってもらいたいんだろう？」
「っ！？」
「・・・図星か」
新一はそのままいいだろうというように優作に投げ掛けるが、その真意はこうだろうと静かに投げ掛けると息を詰まらせたといった反応が返ってきたことにそっと首を横に振る。
「・・・お前が事務所もそうだがあの居住区に関して自分で清掃だとか、維持の活動なんかろくにしていないという情報は毛利さんが把握している。あのビルの所有権は毛利さんにあるし、時たま様子を見たりしに行ってたとのことだからな・・・清掃業者が頻繁に出入りしていることに関しては私達も聞いて知っていた」
「なっ・・・だ、だったら何で俺を手助けしてくれなかったんだよ！？」
「お前が自由にやりたいというからそうさせたまでというのもあるし、蘭ちゃんが自分の手伝いをあてにするのは良くないと見てというのもあったからではあるが、何より毛利さんの言葉があったからだ・・・舞い込んでくる仕事が新一の方が明らかに多いから仕方無いなんて言わせない。一人で事務所を切り盛りするんなら業者を頼むのもやり方じゃあるけど、自分でやろうとしないで蘭や俺達が助けるのがスジだろうみたいに思うようなヤツを助けちゃいけないという言葉がな」
「っ！？」
そこから新一が自分で清掃活動をしてなかったことは知っていたと言った上で、特に小五郎からの言葉があったから助けなかった・・・そう優作から告げられ、新一は愕然とした表情を浮かべた。小五郎がそんなこと言ってたなんてと。






・・・ここで新一は見誤ったというより、そもそも蘭の親であり自身にとっても義理の両親である小五郎や英理と長い間直に会うどころか、電話ですら会話をしていないことを考えてもいなかった。

だが義理の両親である上に会いに行くのも距離が然程離れていない場所に住んでいる二人と何故長い間会ってないのかと言えば、それは新一が自由に探偵として動いていいと言われてからの生活スタイルにあった。









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