「有希子・・・蘭ちゃんの言う通りだ。私達もこうして日本に戻ってきてから共に暮らす形で子育ての手伝いなりをしてきたが、新一は私達がいるならと仕事を何度も優先しようとしてきた。もし仮に私達が日本に戻らなかったとしたなら蘭ちゃんは毛利さん達にずっと頼ることを選ばずにはいられなかっただろうが、それでも新一は自分は探偵として動いているんだから立派に親の務めを果たしているのにといったように言っていたことだろう・・・そんなことが普通の親として有り得ていいはずないのにだ」
「・・・確かに私もそう思うけれど、新ちゃんをほっといていいの？今でもズルをして探偵として活動して、家にいないっていうのに・・・」
「そこに関しては蘭ちゃんが今言ったように向こうでの炊事洗濯掃除といったことには一切関与しないということにすればいい。今までは蘭ちゃんが定期的にあそこに行ってそういったことをしていたが、もうスケジュールをがんじがらめにしない代わりにそういったことは蘭ちゃんに頼ること無く、自分だけでするようにとな」
「・・・確かにそれくらいは自分でやるべきよね。自分でやりたいようにするなら・・・」
「そうだ。それにある意味ではこれが私としてもだが蘭ちゃんも思っただろう事について重要な事として、親として楓の為のイベントやら出席した方がいいといったことに関してをことごとく仕事があるからと、嫌がってはいないにしても出ようとしない姿勢に関してだ・・・これに関しては私達も何回も口酸っぱく言ってきただろう。子どもの為に時間を取るのも親の責任だというのに、仕事はもう入れたし蘭が行けば問題ないというような姿勢なのは良くないというようにな」
「っ・・・確かに何回も言ってきたわね。蘭ちゃんにばかりそんなことさせるなって・・・」
優作はそんな有希子に自分が賛同した気持ちや考えを話していく中で、イベントやらに出ないことについてにたまらず苦い顔を浮かばせた。






・・・新一が仕事を理由に楓もそうだが、他のイベントに出席しないことに関して蘭や優作達は何度も注意してきた。だがそれらに関してを忘れてただとかついうっかりみたいな事を言って軽い笑顔を浮かばせて返していったものだが、それは新一の能力を考えれば確実に仕事をしたいからの嘘や方便だろうと蘭達は見ていた。そんなことは蘭達に任せて自分は探偵として頑張りたいと。

だがそんな姿勢は親として楓が産まれてからの様子をよく見てきた蘭達からすれば、気持ちよくない事に代わりはなかった。こんな様子がずっと改善しようともせず続くことに関して。






「・・・もう今更だ。新一にこれからちゃんとしろなんて言っても効果は薄いどころか、むしろ楓が小学生になるんだから私達の手助けはもう必要ないと言い続けてくる事だろう。だから有希子がアメリカにまた行く気がないなら新一にはそういった事を切り出し、私達はこの家に残ると言いたいと思っている。新一がそんな風にしたいと思うからこそ、私達が新一の分を補う形で蘭ちゃん達を手伝う形でだ」
「貴方・・・うん、もうそれがいいかもね・・・新ちゃんの言う通りにしたら蘭ちゃんの負担が増えるばかりだし、ならもう新ちゃんのことは放っておいて蘭ちゃん達の事を支えましょう。またアメリカに行くつもりはないわ」
「ありがとうございます、二人とも・・・」
だからこそもう新一のことは放置してこの家に残る・・・そういったようにまとめた優作に有希子も決心がついたというように頷き、蘭はそっと頭を下げた。二人が完全に味方についてくれるということに。










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