・・・そうして蘭が義父母に実の両親を完全に味方につけた状態になった上で時間は進んでいくのだが、楓はバスケットに飽きることはないどころかむしろのめり込むように成長していった。新一としては推理小説や探偵に興味を持って欲しかったとばかりに事あるごとにそういった物関連のプレゼントをしていったが、ことごとく興味ないというようにスルーされて小五郎達からバスケット関連のプレゼントをした時は比較的にかなり嬉しそうにしていた。

この辺りで比較的という言葉が出るのは子どもにしては感情があまり顔に出にくい子どもなのだというよう蘭達も認識したのだが、それでもちゃんと嬉しそうな時は嬉しそうだと分かるしお礼もちゃんと言える子どもに育ってくれているのは蘭達も嬉しかった。自分達の教育は間違ってないと思えて。

だがそうして楓の成長に喜ぶ蘭達の裏で、新一は優作達にちょこちょこと話をしていった。楓も安定してきた事だし、そろそろまたアメリカで生活してはどうかというよう。





















「・・・新ちゃん、また私達にアメリカで暮らせって言ってきたわね・・・」
「私達がいる生活は窮屈だと感じているんだろうし、もう楓が手がかからなくなったからいいだろうというのも嘘ではないんだろうが・・・やはりもう自由に仕事したいのだろう。私達にスケジュール管理などされず探偵として自由にやりたいとな」
「今でも新ちゃん仕事があった日は確実に事務所の上で寝てるのもそうだけど、今日は遅くなるなんて言っておいて実際は仕事自体は早く終わってて向こうで一人ゆっくりしたいから嘘をついてる・・・みたいにしてるのは分かるもの・・・」
・・・工藤邸のリビングにて、優作と有希子が並んでソファーに座る中。
二人はここ最近の新一の発言について、悩ましいといったように話し合う・・・新一としてはまた前のように探偵として仕事に集中したいからこそ、アメリカに追い出すような形で二人には消えて欲しいと度々言ってくることについてを。
「・・・もういいと思いますよ、新一のことは自由にさせても」
「蘭ちゃん・・・」
そんな中で蘭が三つ分のコーヒーが入ったカップを乗せたトレーを持ってきて、テーブルに乗せると共に穏やかな笑顔でそれを許容してはと漏らす様子に有希子はどういうことかという声と視線を向ける。
「お二人にキツい事を言うっていうのを承知で言わせてもらいますけど、もう新一に関してはほっといてもいいと思うんです。それこそ探偵としてずっと活動したいならもう休みなんか無くそうしても新一が勝手にやることに口出ししなくても」
「・・・それはもう、新ちゃんについて諦めたってことなの？楓ちゃんの親として、蘭ちゃんの夫として近くにいてもらうことを・・・」
「諦めたんじゃありません。新一は普通の親にはなれない人なんだなって思ったんです・・・新一は探偵として活躍すれば自分のことは親としても夫としても、そして人としても誰よりも立派だって思ってるしその務めも果たしてるって本気で思ってるんだろうって・・・でももう私はそんな新一の気持ちに付き合うつもりはありません。だから新一がそうして探偵として自由に動きたいんならもうずっと仕事をしてればいいって思ったんです。優作さん達がスケジュールなんて管理なんてしなくてもいい代わりに、もう新一の面倒なんか見なくていいんじゃないのって」
「っ、それは・・・」
「成程・・・好きにしたいんなら好きにすればいいから、もうその代わりに新一について何もしないでいいというようにすればいいのではと蘭ちゃんは思ったということか・・・」
「貴方・・・」
そこから蘭はもうこれでいいだろうという自分の考えを穏やかに言葉にしていき、有希子がどうかと言いかけた時に優作が自嘲気味に笑って納得といった声を漏らした事に何をというような視線を向けた。









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