「・・・すみませんでした、二人とも・・・まさか新一があそこまで仕事に集中しているなんて私達も思いませんでした」
「それに新ちゃんがあんな風に仕事をしてるんだから分かってくれるなんて言うなんて思ってませんでした・・・あの様子だと新ちゃんは何もしなかったらこれからもずっとあんな生活を送ると思います・・・」
「・・・それで、どうするんですか？俺達の言葉でも優作さん達の言葉でもあいつは仕事に対しての姿勢は変えませんでしたよ？」
・・・小五郎の住むマンションにて、蘭が気を遣い楓と共に外に出た中で小五郎が優作と有希子の二人と椅子に座ってテーブルを挟み向かい合う。
そんな中で優作達が揃って頭を下げる様子に小五郎が静かにどうするのか問い掛けると、優作は表情を引き締めつつ頭を上げる。
「取り敢えず私達はアメリカから戻って日本に腰を据えることにします。新一の仕事に対する姿勢を改めることもですが、私達も蘭ちゃんの負担を少なくするためにもそうしようかと」
「いいんですか？」
「仕事をするのに向こうの方が色々といいのは確かですが、向こうでなければアイデアやらが出てこないなんて事もありませんし、データをパソコンに送るだとか受け取るだとかでどうにでもなります。しかし今新一をどうにかしなければ新一は今のままで親としても、家庭の大黒柱としても問題ないと信じて疑わずにいこうとするのは目に見えています・・・ですからそうならないためにも新一にはスケジュールの調整の仕方もそうですが、休日を不定休ではなくちゃんと取るといったようにさせるようにしていきます。それが出来なければもう私達は探偵の活動を支援しないと共に、蘭ちゃんが納得するなら離婚するように勧めるように言うことも含めて」
「・・・そこまで言うつもりなんですね？」
「はい。今のままが続くなら新一が好き勝手に満足するだけになるでしょうから、そうなる前にどうにかすることが私達が親として新一にやれることだと思いますから」
「・・・分かりました。そういうことでしたらお二人に新一の事を任せます」
そこから優作が有希子と共に新一の矯正の為に動くことを迷わないと話していく言葉達に、小五郎もならと頷いて返した。これだけ強い意志の見える二人なら大丈夫だと。



















・・・それからすぐに優作達は新一と時間を設けて小五郎と話した中身についてを話していって、当人はそこまでするなんてと非難気味に返したが蘭との離婚を押し進めるというように言われたのもだが、流石に自分達も小さい頃のお前をどちらか片方のみが面倒を見て片方が忙しすぎるような環境で育ててなかっただろうと言われては、新一も否定は出来なかった。そこまで優作が時間を取れないなんてことはなかったと。

だがそれとこれとは話は別でもうちゃんと動くからアメリカに戻るように新一は言うのだが、言葉だけで改善が見られないなら意味がないし毛利さん達から色々言われて今の結果なのに言ったから大丈夫なんて簡単に信じられない・・・そう言われてしまえば新一はそんなことしないと否定出来なかった。事実そうして蘭や小五郎の言葉などに取り合わないままに仕事に集中したから今こう言われているのだということで。

だから新一は日本に定住という形で戻ってきた優作達に監視されてちゃんと休みを取らされてキツキツにスケジュールを詰められないようにする形を取られた上で、優作達の元で蘭や楓と向かい合う時間を過ごすことになった。

ただそこからの時間で新一はかなり苦労することになった。一応一歳という年齢は越えてある程度は安定したとはいえ、それまでは楓を何回か抱き上げたくらいでほとんど面倒を見てこなかった新一は、オムツの交換を始めとした育児に関することに四苦八苦していったのだ。

この事に蘭に慣れてるんだから蘭がどうにかというように新一は懇願したが、慣れてるんだからで家に帰らずに仕事ばかりだった新一が言うことじゃないとも言ったが、これが子育てだとも告げたことに新一はうまい言葉を返せなかった。それまで結局仕事があるからで家に帰らず仕事ばかりに集中していたからこうなるんだと。

ただそれで新一は大人しくなりこそはしたが、その時にボソッと呟いた言葉が優作達三人の中に深く刻まれることになった。それは「俺はこんなワガママじゃなかった・・・」という物だった。









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