子を持てば親として、大人として成長するか?

・・・警察の救世主に平成のホームズと呼ばれている工藤新一は、幼馴染みである毛利蘭と結婚した。そしてその後に一人の男子を授かることになり、蘭の希望から楓と名付けられる事になった。

この時は新一も蘭もだが親戚一同に友人達もまた一層幸せな家庭を築く事になると、誰もが信じて疑わなかった・・・この時までは・・・


















「・・・また依頼・・・仕事なのは分かるけれど、もうちょっと家にいてほしいな・・・」
「しょうがねぇだろ。あいつに舞い込んでくる依頼の多さを考えると、暇なんかそんな作れねぇんだろうからよ」
「それは分かってるけど、楓が産まれてからまだそんなに経ってないのにウチに帰ってこないから、こうしてお父さんの所に来なかったらずっと私一人で楓の面倒見ないといけなかったって思うと・・・」
「・・・そう考えっと、あの探偵事務所の上を使わせるようにって俺が出てったのは失敗だったかとは今は思ってるよ・・・俺としちゃもうちょい別の使い方をするもんだと思ってたんだがな・・・」
・・・場所は現在小五郎が住んでいるマンションの一室。
別室にベビーベッドに寝かせた楓を尻目に、蘭と小五郎は何とも言い難いといった表情で楓を起こさないようにと小さな声で話し合う。






・・・新一が探偵として事務所を持つとなるにあたり、新一は小五郎が使っていた事務所を使いたいと切り出した。小五郎がその時には様々な理由から探偵を辞めて英理の事務所で雑用という形で働く事になって、事務所を他の人に貸し出す形を取っていた。

だからその事務所について自分が使いたいと切り出した時は、その時の契約者がそろそろ契約を終えるといういいタイミングであったことから、英理の勧めもあってちゃんと毎月の家賃を支払えるならということで上の居住区共々貸し出すようにするとした・・・ただその時に蘭はタダで使わせるようにしないのは何でと言っていたが、そこは公的な手続きを済ませないと面倒になることだとか悪評が立ちかねない可能性があるのもそうだが、事務所を貸し出す分の金が無くなることは小五郎の収入が減ることになると告げた。前に探偵をやっていた時は小五郎という建物の持ち主だから家賃は払わなくても良かったが、新一の前の借り主がちゃんと家賃を支払っていたことやその収入により小五郎が潤っていたのだから、自分が使いたいと言い出すなら家賃を支払うのは当然だと。

ただそれでも親戚になったんだからと蘭は食い下がろうとしたが、そこは新一がそうすると返したことで話は収束する事になった。自分もちゃんと探偵になるんだからどちらにせよ事務所を構えないと話にならないんだから、それくらいの金は出すようにすると。

ただそんな宣言になら上の居住区はセットという形で家賃は取らず使わせてやるし、俺は引っ越して別の所で暮らすと小五郎は言ったのだ。新一がこれまでの活動もあって仕事が忙しくなるのは想像は出来るけど、それで依頼が終われば事務所から工藤の家に帰るのは面倒になる時はあるだろうし、かといってその時に一々俺に許可なり取って休息やら何やらをするのも面倒だろうから、俺が引っ越しをすることで自由に使えるようにすれば蘭も含めて気楽に使えるだろうからと。

その小五郎からの案に少し話はしたものの、それがいいとなってまとまることになったのだ。特に蘭からしてみれば色々小五郎が自分達を気遣ってくれたからこその物だったのだから、事務所を使う分の家賃を支払うことは小五郎の住む所の家賃にも繋がるのだからということで納得したのである。

ただそういったようにこれで万事解決となったかと思いきや、徐々に問題が発生していったのである。それが新一が探偵として忙しくなりすぎて、工藤の家にほとんど帰らなくなってきたことだった。










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