ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

そうして優作達からも投げられる形になった新一だが、当人は優作達からもお墨付きをもらったとばかりに探偵としての活動を重視して動いていった。目暮達には学校にいる時間に限らず事件があるなら連絡してほしいというように言ったし、それだけでは足りないとばかりに探偵活動用の新しい携帯を契約した上で、マスコミに自分に依頼したい時はこの番号やアドレスに連絡をしてほしいと掲載してほしいと願ってだ。

その結果として目暮達からは事件が起きたと知らされる頻度は増え、探偵用の携帯にも連絡がひっきりなしにくるようになっていったのだが・・・






「しっかし分かってないね。そうして探偵としてってヤツを優先しようとすればするほど、嬢ちゃんだけじゃなく他の色んなもの達までもが狙ったもんからズレてってるって事・・・!」
更に男はいかにそれらがズレたものなのかについて、嘲るように笑みを深めながら口にしていく。






・・・一応というか時間が経って新一は蘭と共に三年へと進級した。だがそれは半ばイリーガルなやり方での物だった。新一として元に戻るまでの時間で進級が出来るか出来ないかのギリギリの日数といった時間を休学という形で消費していた新一だったが、そんな中でも度々学校があるかないかなんて関係無く事件に向かうことが度々あり、とある日に新一は呼び出されて進級はもう出来ないというように学校側から告げられる事になった。

ただその事に新一は事件を解決してきたんだからというように抗議したが、事件を解決すれば単位が得られるなんてシステムはうちにはないしそんなに事件を解決したいならもういっそ学校を辞めたらどうか・・・というように遠回しにこそではあるが、皮肉もだが不快だという気持ちをたっぷり込められなから新一は告げられた。

そのように言われた新一だが、元来学生の本分は学校に来て勉学に励むことであって、間違っても探偵活動をやることではないし授業をほっぽりだしてまで行うような物ではない。その点で前の新一の探偵活動が認められていたというか暗黙の了解のようになっていたのは、放課後だったり学校内で起きたトラブルの解決が求められてだとか休みの日といった、学校からしても必要だったかプライベートだったからといったような区切りが出来ていたからだ。

しかし新一のそんな探偵としての活動の増え方は明らかに学業をほっぽりだした上での行動であって、その数が明らかに多かったからこそ学校側・・・特に新一の授業を担当していた先生達からの評判は著しく悪くなることになり、表現だけは抑えられたがもう辞めろというよう言われてきたのである。

ただ新一は衝撃から覚められないままにそんなことを言われても納得出来ないからどうにかならないかと抗議したが、散々面倒をかけられた学校側が素直に頷く筈もなかったから優作達に電話して日本に来てもらってどうにかしてほしいと頼んだ結果・・・どういった話し合いがされたかは新一がいない中でされたから新一は分からないが、補修に出された大量の課題の片付けと残りの授業をどんな理由でも一回でも欠席すれば留年確定でいいならとなったのだ。

その条件は酷くないかと新一は抗議したが、優作達が学校の規定をねじ曲げてもらって本当に最後の条件としてお情けをもらったと疲れたように言ってきたことに、本当に優作達が苦労して何とか勝ち取った物なのかと理解すると共に・・・優作達ももう次は助けられないという以上に、次は助けないと言ってきたことに戦慄した。今まで何だかんだあっても最終的に自分の事を助けてきた優作達から出てくる言葉とは思えないと。

だが優作達が今回の件は相当な無理を通すためにかなり骨を折ったし、自分達が新一を甘やかしてきたからこうなったんだと思ったからこそ、もう自分達が新一の気持ちを優先してその尻拭いのような事をするのを止めるべきではと話し合った結果だと言うと、新一は辛そうながらもそんなこと言わないでくれとは言えなかった・・・新一がコナンの間に協力してくれた時は辛いなんて気持ちを微塵も滲ませていなかった優作達が、もう取り繕うことも出来ないとばかりに疲れやら苦悶やらを滲ませた様子であるのに、これからもそうしてくれなんて流石に言える筈がないと。









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