ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

・・・ただ服部達というか服部に関してはすぐに新一達の事に関して撤退することを選んだというか、選ばざるを得なかった。それは何故かと言えば最初は新一からの要請で服部と共に東都に来て、その後に蘭側の視点からの話を聞いた和葉が蘭の方に回った上で服部の親にも話が通ったことからだった。

最初は和葉も話を聞いていって服部に対してもどかしいと思わされてきた事は少なくはなかった上で、新一が長いこと姿を見せなかったことや事件を優先したいなら蘭ちゃんの事も言い方は悪いけど、キープしたいみたいな考え方をするのは止めるようにと言った。そんな和葉に服部は新一の立場とか気持ちが分かるからというように擁護して言い合いになるのだが、そこで和葉が自分の父親にどっちが正しいか聞くと電話して事情を話すと・・・少し時間が経ってその話が和葉の父から服部の父に連絡が回り、そして服部の父親から服部に電話が来てこの件に関しての厳しい言葉の数々を告げられた事で、服部はたまらず引くと選ぶしか出来なくなったのである。同じような立場にある新一の事を庇いたいという気持ちなんだろうし、端から話を聞いただけの自分に言われたくないだろうが新一君の活動の仕方を容認するというのなら・・・和葉ちゃん相手に自分も同じような事をして我慢を求めるという事になって、新一君達と同じ道を歩みかねないと言われたことで服部は引かざるを得なくなったのである。

この辺りは服部が和葉が好きだからこそという部分が大きくて父親がそこを的確に突いてきたからこその結果であると共に、和葉が明らかに蘭に寄った姿を見たこともだが・・・何より新一が実はコナンとして毛利家に入り込んでいたことを知っていたから庇っているなんて明らかに出来ないのもあって、引かざるを得なくなったのだ。下手にその事を明かしてしまえば事情を知らない面々から新一共々非難轟々になるのは避けられないだろう上で、蘭が更に新一の事を見損なってしまう原因になってしまう可能性は十分に有り得るということから、もうここで自分は引くといったようにするとしたのである。自分もこれ以上色々な意味で下手を打たないようにするためにもと。

そんな服部に新一はそんなことで離れるのかというように愕然とするのだが、続いた優作達も同じようにこの問題に関して自分達でももう毛利さん達は説得しようがない・・・というように言ってきたことに、尚更に愕然とするしかなかった。蘭や小五郎の直の説得の為にわざわざ日本に帰ってきてくれて、誰よりも頼りになると見た優作がそうして諦めるしかないと見たことに。

だが服部の時同様コナンだった時の事を話せない優作達が言えることが限られていたこともそうだが、そもそもとして蘭が新一の事を見切った理由である探偵として在りたいといった活動の仕方やヤル気について・・・これを変える気もないのに好意だけは前のままにして前のように待つようにしてほしいなんて事を、いかに優作の口が回ろうが好きではなくなった相手の勝手からくる行動について我慢をお願いするだけを通す・・・なんて事は無理としか言いようがない事だった。

むしろ新一が諦めきれないからというだけの気持ちしかない優作達は小五郎にうちひしがされていったとのことだった・・・蘭もそうだが自分も新一の事に関しては蘭程ではないが、気をかけていた。その上で組織とやらの壊滅をしたこと自体はともかくとしても、蘭や自分達に何も言わずにそうしていたことによくやったなんて気持ちは浮かばなかった。何故なら言えないことが多かったのだろうからとは言え、自分勝手でいて一人でやることを選んだことは少なからずどうかと思う気持ちもあった。ただそれが終わったこと自体はいいと思ったのも確かではあるけれど、戻ってきてからの活動や蘭がそれでもと耐えてきた姿を見てきた上で我慢の限界を迎えた姿を見たことから、もういい加減蘭を諦めて欲しいとなった上で俺も前はあった蘭を任せるといった気が一切なくなった・・・というように本気で語られた事でと。

・・・そんなことを言われて新一は優作達と同じよう小五郎が蘭を任せてもいいと思っていたというまさかの言葉が出てきた事に、半ば信じられないという気持ちと小五郎がそんな風に信頼していた事を裏切るような事をしたのか・・・と戦慄した。あの何だかんだでお人好しな小五郎がハッキリと新一を見放すような考えにまで至ったということに。









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