ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

・・・それでまず最初にというか、新一は気を取り直して蘭に積極的にデートを始めとして話し掛けるようになった。だが新一と付き合っても似たようなことの繰り返しにしかならないとハッキリ考えている蘭はそんなデートの誘いは一度も受けないし、ならと学校が終わって一緒に帰ろうとしても部活があるからと断ってきた・・・この辺りで帝丹高校は部活に来る来ないは生徒の自主性及び結果が出れば来ないことが多くても咎められる事がないことから、コナンがいた頃はコナンの面倒を見たいという気持ちから休むことも多々蘭はあったのだが、もうコナンはいない上に小五郎も俺に気を遣わないのもだが新一と距離を取るためにも部活に精を出せと言ったからであった。もう新一と時間を使いたいと思わないんなら部活にその分をつぎ込めと。

だから新一は蘭との時間を取れずにモヤモヤする事になるのだが、それでめげずに部活が終わるまで蘭を待ったり部活がない日を調べてどうにか蘭と時間を取ろうとした・・・だが元来人を待たせることは自分がやらないから出来るが、自分が待つことに不馴れな新一は授業が終わって二から三時間はただ待つだけなんて事が苦痛だったことに加えて、蘭にフラれたのが経緯も含めて周りに知られていることから待っている間に向けられる意味深な目やヒソヒソ話に耐えきれず、学校内で待つことはすぐに断念することになった。

なら部活のない日に合わせて共に帰ろうとしてもその時は園子と合わせて帰ることから二人きりになれるタイミングなど無かった上で、仮に自分から話題を振っても園子を含めて色好い反応が返ってくるようなことはなかった・・・何故なら新一が話すことの中身は自分がいかに探偵としてすごいかというようにアピールするための、自分はこんな事件を解決したんだという武勇伝のようなものばかりだったからだ。

だがそんな自分語りな上にそもそも新一にズレを感じた原因である探偵活動についてを滔々と語られた所で、蘭もそうだが園子も興味を持って聞けるなんてある筈もないどころかむしろ冷めた顔を浮かばせて話を流していたのだが・・・そんなことが何度か続いた後で園子がもう探偵としてすごいなんてアピールしても逆効果でしかないから止めるようにと、蘭といないのを確認した後で電話でその他諸々を含めて言われたことに新一はかなりの大ダメージを受けることになってしまった。蘭の心を引き戻す為にやっていたことがむしろ更に心の距離を自分から引き離すような事をしていたこともだが、園子までもが明らかに新一への気持ちが完全に離れてしまっているということを理解した為に。

とはいえそれで簡単には諦めがつかないのが新一の特徴なのだが、新一がどうにかしたいと思っても蘭に寄り添った共通の話題など無かったのもそうなのだが・・・何より不定期かつ大量に舞い込んでくる事件解決をしてほしいといった依頼といったことを断るなんて新一からしたら有り得ないからこそ、そちらに事あるごとに蘭が場にいる時でもすぐに向かうことに関してを止められないことが、新一にとってはジレンマにしかならなかった。事件解決の為に動かないといけないと思っているし蘭はその事を分かっているからと前と違って見送ってくれるが、それはもう蘭からしてみればどうぞご勝手にという気持ちがその顔から見て取れることや、そういった風に動くことで蘭の心が更に離れていく事になるというのが分かるために。

しかしそれでも新一は事件解決の為に動いてほしいと言われたらそれを断るなんて有り得なかった・・・だからこそ苦悩する事になり、自分だけではどうにもならないからと優作達や服部達にと助けを求めた。









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