ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

・・・新一は結局の所として新一の思うような探偵としての活動を止める事は出来ないというか、止めようなんて考える事は微塵もないんだろうと蘭は考えた。それが例え自分がどうかというような態度を取ったり気持ちを抱いていると話して訴えかけても、分かってほしいとか分かってくれるだろうというように返してくるだろうとも。

だがそれで我慢するのは誰かというように考えると、それは自分だったり自分達の子どもになる存在であって決して新一ではないと蘭は気付いたのだ。自分も蘭の言うようにしたいけれど事件が起きたんだから仕方無いと突っ込む姿を思い浮かばせると、その何処に自重だったり辛いなんて気持ちがあるのかというような風にしか見えない姿しか思い浮かばないし、ワリーワリーと事あるごとに軽く謝るだけで改善なんか出来る筈がないのも想像がつくと。

ただもうそんな探偵としてを優先するあまりに蘭達に負担や心配を強いる・・・新一からすれば感謝や申し訳ないという気持ちはあるのだろうが、例えそうだとしてもそうすることが探偵としてを優先して最善だと疑わない、人としてとてつもなくズレた感覚を持つ新一にもう付き合いたい気持ちなんか起きる筈もないという結論が出たのである・・・


















・・・そうして蘭はもう新一についての区切りをつけて学校に向かうのだが、以前なら新一と合わせるように登校するようにしていたが、もう合わせるつもりもないと一人でさっさと高校に向かった。前は新一への異性に対する好意があったから一緒に行っていたが、今はもう精々昔から知ってる幼馴染みが自分を巻き込まないなら勝手に何でもしていればいいというくらいにしか感じていない為に。

ただそんな蘭に携帯から新一に電話が入ってくるのだが、何の感慨も見せずに即座に電源をオフして高校に向かった・・・しかしそんな風にしても高校は同じでクラスも同じなので、すぐに顔を合わせるようになった。



「・・・おい、蘭。昨日の事はしょうがないだろ。事件が起こったんだし、俺も謝ったんだしさ・・・だから機嫌を直してくれよ・・・」
「機嫌を直すも何もないよ、新一・・・もういいって思ったんだ。新一に付き合うのは昨日のあの時で終わりにしようって決めたから」
「なっ・・・!?」
・・・そして蘭と新一のクラスの中。
入ってくるなり蘭を見付けて挨拶などすっ飛ばして即行で困り顔で近寄り話し掛ける新一だが、大した感慨もないとばかりにもう付き合わないとあっさり言ってのけられて絶句してしまった。
「もういいじゃない。私の事は気にしないでずっと探偵活動に集中してたら。その方が私の事なんか気にかける時間が減るんだから新一も心置きなく探偵として動けるでしょ?」
「な、何でそんなこと言うんだよ蘭・・・待ち合わせをキャンセルしたことは謝る・・・」
「新一が謝るから私が許すとか許さないとか、そもそも貴方に対して怒ってるとかそういうのじゃないの・・・新一が探偵として事件を解決しなきゃいけないって思う気持ちや活動に付き合う気にならないって思っちゃったの。これまでに何度も同じような事になってきたし、これからも新一は同じような事をするのは目に見えている事を考えていくと、もうこれからはそんな事に付き合う気になんてなれないってね」
「っ!?」
そうしつ突き放すような言葉を投げ掛ける蘭に謝るからというようにすがろうとするが、もう自分の中でハッキリと決まったことだと言い切るその中身に再度絶句するしかなかった。今までの何度かあった喧嘩のような癇癪と違い、波一つ立たない水面のような蘭の迷いのない様子に否応なしにその本気さを理解してしまう・・・させられる形になって。









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