(それにさっき園子に連絡した時ももうそうする方がいいって言われちゃったし、多分お父さんにもまだかって思われてたんだろうな・・・新一の事を吹っ切るの)
そんな中でふと先程の園子との電話での会話を蘭は思い出す。しみじみとしながらも納得したといったように返した親友との会話を。






・・・小五郎は話を直接蘭からは聞いていないが、園子は前々から話を聞いていた為に新一が戻ってきたとなった時にどうするのかと蘭に二人だけの会話の時に投げ掛けた。だがその時はまだ完全に吹っ切っていた訳ではなかったことから、まだ結論は出せないというように蘭は返した。

だがそういったように返しはしたが、それからの新一とのことについてを親友として見て聞いてきた園子は蘭の気持ちが明らかに新一から離れていっているといったように見えると言った上で、もういいんじゃないかというように何度か投げ掛けていった。前に選択肢についてどうするべきか挙げなかったけれど、もうここまで来たなら新一君の事を見放してもいいとしか思えないと。

ただそれでもまだ踏ん切りがつかないというように蘭は返していったのだが、今回の事でハッキリそうすると連絡したことに園子はホッとしたと言うのと共に、その言葉を待っていたというように言われたのである。もうこれで終わりなんだというように思えると。






(ただやっぱりそう思えるようになったのってあの人のおかげなんだよね・・・多分とかそんなんじゃなく、色んな事を考えられないままに私は新一と付き合う道を選んで後悔だとかしてたと思うから・・・)
しかしやはりそうなったのはあの男の存在だと蘭は改めて実感していた。あの出会いがなかったら自分は今とは全く違って新一と付き合うことを迷わず選んだ上で、後悔していたのだろうと。






・・・そもそもの新一についての考え方の発端は、あの酔っ払いの男との出会いであった。ただもしあれが普通のというか、酔っ払ったといった様子ではなく、素面で真剣に新一と付き合うのは止めた方がいいなんて言葉を投げ掛けられていたら、蘭は余計なお世話だというように聞く耳を持たなかっただろう。自分の想いをくじこうとするなというよう。

だが明らかに酔っ払いの戯言にしか見えなかったというのもそうだが、ズレという言葉で直接的ではない疑念を差し挟むような言い方だったことが却って蘭の心の中に入り込むことになった。力ずくなんて要素のない投げ掛けのような物だったからこそ、新一の事で思い悩んでいたのも相まってアッサリとだ。

そうして男と何回か会ったことや園子と話したことで、蘭は次第に考えるようになっていったのである・・・もし仮に新一と恋人や夫婦になれたところで、探偵としての活動を何より優先する新一と普通の恋人らしくだったり幸せな家庭を築きたい自分とのズレを、新一は自分の為に合わせることなんかしてくれないんだろうなと。

特に幸せな家庭を築くという点に関しては冷静に考えていけばいく程、新一がその為に動いてくれるとは到底考えられなくなっていた・・・新一は今の時点で事件が起きれば蘭の事は二の次三の次とばかりに後回しにしてそちらに集中し、解決することを最優先に動いている。高校生探偵と呼ばれる形でちゃんとした仕事としてやってるわけではないのに、事件があったらその解決をすることを第一にだ。

今の時点でそういう状況であって、もし今のままの新一と付き合っていって結婚するという流れになっても・・・結婚式だったり子どもが出来ての出産やその子どもの面倒を見るだとか各行事への出席など、探偵として依頼があるからだとか事件が起きればそちらの解決の方が優先となるのが蘭には簡単に想像が出来た。そしてそれが新一と自分の考え方の決定的なズレだということも。









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