ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる
・・・ただそれでももういなくなった面々に関しては連絡がつきようもない者も多かった事から、話すことすら出来ずに時間は進んでいくのだが・・・
『・・・わりぃ蘭、また目暮警部から呼び出されちまった。だからまた今度な』
・・・そうして新一が戻ってきてからの時間を過ごしながら、蘭は時折新一からのデートの誘いを受けて何度かそれに付き合っていった。だがそのことごとくで事件に出会すだったりデートの前に目暮に呼び出されるだったり、目暮達をデートの最中で見付けるなどしてはデートをそっちのけでそちらに向かうといった行動を取った。
現に今も蘭はデートの待ち合わせ場所に来て待っていたが、新一から電話が来てそれを取ってみればまた同じように呼び出しを受けたからとキャンセルを口にしてきたのである。一切悪気というか言葉では謝ってはいるが、心底からは謝る気など一切見えない軽い様子でだ。
「分かった、じゃあね」
対して蘭は声色だけはすんなり受け入れたというように返して電話を切るのだが、切った電話の画面を見るその顔は前だったら浮かべていたであろう軽い怒りだったり、新一らしいと微笑むような物ではなく・・・ただ無の感情であった。
「・・・もういいかな。さ、帰ろ」
そして蘭は携帯をしまってさっさと場を後にしていく。折角のデートを台無しにされたというような様子など一切ないまま。
・・・そうして蘭は家に帰るのだが、まださして遅くもない時間だった為に小五郎が居間でゆっくりしていた。
「・・・なんだ?また新一にキャンセルでもされたか?」
「うん。だから次に会うか電話がきたらもうデートにも誘わないでって言おうと思う」
「そっか・・・んじゃ早く今日は寝とけ。早けりゃ明日にでもそうなるんだろうから、その時に備える形でな」
「うん、そうする」
そこで小五郎があっさりまたかというように聞いてきて蘭が頷いて返すと、特に大したリアクションもせずに早く寝るように普通に告げられた為に同じように頷いて返して自分の部屋に向かった。
(・・・やっぱりお父さんももう分かってたっていうか、いつかこうなるって思ってたんだろうな・・・新一が戻ってきてからの私の様子で)
・・・そうして蘭はパジャマに着替えてベッドに腰かけつつ、小五郎の態度についてを考えていた。前までならデートのキャンセルだったり事件のせいでデートが台無しになっていたなら自分が怒っていたのに、新一が戻ってきてからの態度から察されたんだろうと。
(それだけ私の態度が分かりやすかったんだろうけど・・・あぁしてお父さんが深く追求しないのもそうだし、私に任せるみたいな様子になってるのは素直にありがたいかな・・・もう今回で新一の事を人としてはまだ嫌いにはなってないけど、恋人になりたいだとか将来的な事を考えるようにならなくなったから、何でだとか言われてたら面倒だっただろうし)
ただそういった小五郎の様子をありがたいと蘭は感じていた。もう今回の事で新一との将来など考えられなくなった中、そこを突いてこない親の優しさや気遣いを感じる形で。
・・・新一が戻ってきてからの生活の中、新一にまだ気持ちが残っていることから新一の前では変わったような姿を見せることを避けていた蘭だが、それでも新一がいない家の中では素とまでいかずとも新一に対しての態度は取り繕う事はせずに済ませていた。
ただその態度の質は以前と違って以前なら小五郎にも新一関連の事で愚痴っていたのだが、新一が戻ってきてからはそんな愚痴とは真逆にもう分かってるとばかりに静かになっていったのだ。それで親の義務としてどこに行くのかだとかを聞いていた小五郎が何があったのかを察するのは当然と言えば当然であった・・・今まで好きだからこそ新一に関してを愚痴愚痴言っていた愛娘が、新一が戻ってきてからデートだと言われて出掛けてきたのに、愚痴一つこぼさず怒りも見せないような姿を見れば新一の事を以前のように思っていないだろう事は。
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『・・・わりぃ蘭、また目暮警部から呼び出されちまった。だからまた今度な』
・・・そうして新一が戻ってきてからの時間を過ごしながら、蘭は時折新一からのデートの誘いを受けて何度かそれに付き合っていった。だがそのことごとくで事件に出会すだったりデートの前に目暮に呼び出されるだったり、目暮達をデートの最中で見付けるなどしてはデートをそっちのけでそちらに向かうといった行動を取った。
現に今も蘭はデートの待ち合わせ場所に来て待っていたが、新一から電話が来てそれを取ってみればまた同じように呼び出しを受けたからとキャンセルを口にしてきたのである。一切悪気というか言葉では謝ってはいるが、心底からは謝る気など一切見えない軽い様子でだ。
「分かった、じゃあね」
対して蘭は声色だけはすんなり受け入れたというように返して電話を切るのだが、切った電話の画面を見るその顔は前だったら浮かべていたであろう軽い怒りだったり、新一らしいと微笑むような物ではなく・・・ただ無の感情であった。
「・・・もういいかな。さ、帰ろ」
そして蘭は携帯をしまってさっさと場を後にしていく。折角のデートを台無しにされたというような様子など一切ないまま。
・・・そうして蘭は家に帰るのだが、まださして遅くもない時間だった為に小五郎が居間でゆっくりしていた。
「・・・なんだ?また新一にキャンセルでもされたか?」
「うん。だから次に会うか電話がきたらもうデートにも誘わないでって言おうと思う」
「そっか・・・んじゃ早く今日は寝とけ。早けりゃ明日にでもそうなるんだろうから、その時に備える形でな」
「うん、そうする」
そこで小五郎があっさりまたかというように聞いてきて蘭が頷いて返すと、特に大したリアクションもせずに早く寝るように普通に告げられた為に同じように頷いて返して自分の部屋に向かった。
(・・・やっぱりお父さんももう分かってたっていうか、いつかこうなるって思ってたんだろうな・・・新一が戻ってきてからの私の様子で)
・・・そうして蘭はパジャマに着替えてベッドに腰かけつつ、小五郎の態度についてを考えていた。前までならデートのキャンセルだったり事件のせいでデートが台無しになっていたなら自分が怒っていたのに、新一が戻ってきてからの態度から察されたんだろうと。
(それだけ私の態度が分かりやすかったんだろうけど・・・あぁしてお父さんが深く追求しないのもそうだし、私に任せるみたいな様子になってるのは素直にありがたいかな・・・もう今回で新一の事を人としてはまだ嫌いにはなってないけど、恋人になりたいだとか将来的な事を考えるようにならなくなったから、何でだとか言われてたら面倒だっただろうし)
ただそういった小五郎の様子をありがたいと蘭は感じていた。もう今回の事で新一との将来など考えられなくなった中、そこを突いてこない親の優しさや気遣いを感じる形で。
・・・新一が戻ってきてからの生活の中、新一にまだ気持ちが残っていることから新一の前では変わったような姿を見せることを避けていた蘭だが、それでも新一がいない家の中では素とまでいかずとも新一に対しての態度は取り繕う事はせずに済ませていた。
ただその態度の質は以前と違って以前なら小五郎にも新一関連の事で愚痴っていたのだが、新一が戻ってきてからはそんな愚痴とは真逆にもう分かってるとばかりに静かになっていったのだ。それで親の義務としてどこに行くのかだとかを聞いていた小五郎が何があったのかを察するのは当然と言えば当然であった・・・今まで好きだからこそ新一に関してを愚痴愚痴言っていた愛娘が、新一が戻ってきてからデートだと言われて出掛けてきたのに、愚痴一つこぼさず怒りも見せないような姿を見れば新一の事を以前のように思っていないだろう事は。
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